第647回 東京都青少年健全育成審議会 メモ 1/3

第 647 回
東京都青少年健全育成審議会
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_646_menu.html#647


■審議時間の短さ
午後3時30分開会
午後4時30分閉会

正味60分の審議である。
委員が実際に図書を閲覧し、審査する時間もこの時間内に行われる。
審議されたのは漫画作品2つ、審議会で用意された図書がそれぞれ1冊ずつだったと仮定して、
今回参加した17人の委員が回し読みしたとし、60分の審議全てを閲覧にあてたとしたら一人当たり一冊1分45秒、
半分の30分を読書にあてたとしたら、一人当たり一冊52秒しかない。

図書を精読し、指定基準に照らして審査し、委員同士で意見を言い合い審議するためには、
この時間内では到底行えない。

しかし、今回は新基準で諮問された図書があったため、
希望する委員は、その作品を審議会前に閲覧することが可能であったが、
それが行われたかは議事録では判断できなかった。
東京都青少年健全育成審議会運営要領(案)
3 審議の方法
(1) 図書類について
図書類については、委員が審議会において当該図書類を閲覧又は観覧し、審議する。ただし、 審議会において閲覧又は観覧することが困難なものについては、 委員が審議会開催日前に当該図書類を閲覧又は観覧し、審議会において審議する。
なお、条例第8条第1項第2号(以下「新基準」という。)該当に関し諮問される図書類について、希望する委員は、上記に加え、審議会当日の午前または審議会開催日前に当該図書類を閲覧又は観覧することができる。新基準諮問図書類の閲覧又は観覧、 審議に当たっては、 諮問図書類ごとに新基準に関連する設定や描写のあるページ等について整理した資料を事務局において作成し、 配付する。




■事務局による恣意性の疑い

審議会の庶務は、東京都青少年・治安対策本部の青少年課で行われている。
審議会の議事録では、事務局と呼ばれる。
8 事務
審議会の庶務は、青少年 治安対策本部総合対策部青少年課において行う。


さらに1枚おめくりいただきまして、2ページの「諮問図書類及び指定基準該当箇所一覧」をご覧ください。こちらに記載されました図書類は平成26年4月1日から4月28 日までの間に、都内のコンビニ・書店等から購入いたしました 123 誌のうちから、8ページ、9ページに記載してございます条例施行規則第 15条の指定基準に基づきまして、指定図書類の候補として選定したものでございます。
今回、諮問する図書類は2誌でございます。
1番は、『オール体験デラックス Vol.1』、平成26年3月 27 日、株式会社メディアックスの発行でございます。
2番は、『TECHGIANSTYLE 妹ぱらだいす!2 ~お兄ちゃんと5人の妹のも~っと !エッチしまくりな毎日~』、平成26年4月3日、株式会社KADOKAWAの発行でございます。
これらの発行所の過去1年間の指定回数は、1番の株式会社メディアックス、2番の株式会社KADOKAWAともに「無し」でございます。
該当箇所は、1番、2番ともに「全編大部分」でございます。
該当指定基準は、1番は条例施行規則第 15条第1項第1号イ・ロ、いわゆる旧基準でございまして、2番は同規則第15条第2項第2号、いわゆる新基準でございます。

購入図書の選別、諮問図書の選別、指定基準の決定を事務手続きとして、事務局が行っている。
購入図書の選別は、表示図書やシール止め誌以外の一般向け作品から「図書類の題名・表紙・帯の文言等から判断」され、
諮問図書の選別は、購入図書を、「青少年の性的感情を著しく刺激する」「性的感情を刺激する」「性的感情を刺激しない」の3種類に分け、
そのうち「青少年の性的感情を著しく刺激する」ものを旧基準での諮問図書とし、
「性的感情を刺激する」「性的感情を刺激しない」ものの中から新基準での諮問図書となるものを選別している。

しかし、購入する基準と、諮問図書とならなかった図書の題名が公開されていないため、
事務局による恣意性が疑われる。

また、『TECHGIANSTYLE 妹ぱらだいす!2 ~お兄ちゃんと5人の妹のも~っと !エッチしまくりな毎日~』においては、
別府資料1から判断して、該当ページ数は全体の約2割であり、それを「全編大部分」と言うのに疑問がある。
これまでの諮問図書も、2割を「全編大部分」としていたのか?
第15条第1項第1号イ・ロ(旧基準)
第3章 不健全な図書類等の販売等の規制
(指定図書類、指定映画等の基準)
第15条 条例第8条第1項第1号の東京都規則で定める基準は、次の各号に掲げる種別に応じ、当該
各号に定めるものとする。
一 著しく性的感情を刺激するもの 次のいずれかに該当するものであること。
イ 全裸若しくは半裸又はこれらに近い状態の姿態を描写することにより、卑わいな感じを与え、
又は人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること。
ロ 性的行為を露骨に描写し、又は表現することにより、卑わいな感じを与え、又は人格を否定す
る性的行為を容易に連想させるものであること。

2 東京都青少年の健全な育成に関する条例施行規則(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html

第15条第2項第2号(新基準)
(指定図書類、指定映画等の基準)
  条例第8条第1項第2号の東京都規則で定める基準は、次の各号のいずれかに該当するものであることとする。
二 近親者間 (民法 (明治29年法律第89号)第734条から第736条までの規定により、婚姻をすることができない者の間をいう。)における性交等を、当該性交等が社会的に是認されているものであるかのように描写し若しくは表現し、又は当該性交等の場面を、みだりに、著しく詳細に若しくは過度に反復して描写し若しくは表現することにより、閲覧し、又は観覧する青少年の当該性交等に対する抵抗感を著しく減ずるものであること。

2 東京都青少年の健全な育成に関する条例施行規則(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html

■指定該当箇所の公開
今回の2番『妹ぱらだいす !2』につきましては、皆様のお手元にございます当該図書の青い色の附箋を貼付しております部分に登場人物の関係が明示されておりますが、兄と実の妹、または兄と異母兄妹の妹という民法第734条に規定する婚姻を禁止されている近親者間、今回の場合は2親等になりますが、2親等間の性交または性交類似行為を描いたものであり、当該指定基準に該当するものと考えております。
次に、A4横長の別紙、資料1をご覧ください。
当該図書の中で、婚姻を禁止されている近親者間、今回の場合は2親等間の性交または性交類似行為を描いているページとその内容を一覧としたものでございます。当該図書にも、該当行為の始まるページと終わるページに黄色い附箋を貼付してございます。附箋は旧基準のものとちょっと貼り方を変えておりまして、旧基準のものは、性器描写でありますとか性的行為の描写または暴力描写等があるページに貼付しておりますけれども、今回この新基準の本につきましては、ストーリーの中で当該場面がどのように取り扱われているかということをご確認いただく場面に附箋を貼付させていただいております。

審議会内で閲覧するために用意された指定図書に付箋が貼り付けてある事は、以前から言われていたが、
その内容が詳しく書かれている。
旧基準では、「性器描写」「性的行為の描写」「暴力描写」の、
新基準では、「近親者間の性交、または性交類似行為」の、
「始まるページと終わるページ」に黄色の付箋が貼り付けられている。
新基準の近親者間の性行為での指定では、描かれた人物の間柄が明示されている場面に青色の付箋が貼り付けられる。

また、新基準では、その付箋が貼り付けてあるページが別紙の資料として公開されているが、
なぜ旧基準のものは公開されないのか?


■専門委員の意見からその適正を見る
○会長 ありがとうございました。
ただいまの事務局のご説明につきまして、ご質問等がございましたらどうぞ、お受けいたします。よろしいでしょうか。
それでは、■■専門委員に調査報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○■■専門委員 『妹ぱらだいす!2 ~お兄ちゃんと5人の妹のも~っと !エッチしまくりな毎日~』につきまして拝読しましたが、条例第8条第1項第2号に該当する図書類等の「作品を創作した者が当該作品に表現した芸術性、社会性、学術性、諧謔的批判性等の趣旨」は、作品から全く見られません。

まず、この調査にどの様な意味があるのか考えたい。
調査の結果、芸術性等が確認されれば指定を免れえるという意味だろうか?
それらのない拙作は青少年によって読まれるに値しないという意味だろうか?
私の解釈の方法は、条例の目的である「青少年の健全な育成」に注目することである。
指定図書の選定はこの「青少年の健全な育成」を阻むと思われる描写のある作品を青少年から遠ざけることを目的としている。
であれば、それを覆すほどの「青少年の健全な育成」を助長する描写の有無を見るのが、この調査の意味ではないかと考える。

この観点から本作を読むと、「性愛の肯定」「血縁関係者との恋愛、社会性と個別的恋愛感情の比較、上位性」
「性同意の重要性」など、青少年の博学に益となる描写が含まれている。
しかし、それらが稚拙であって青少年に理解が困難であるなど、その見解には個人差がある。
それを調査するのが専門委員であると考えられる。
しかし、専門委員の調査結果は「作品からまったく見られません」というものであり、
これは業務の放棄、あるいは専門委員としての能力の不足を感じざるを得ない。
また、聴き取り調査などをしますと、これはゲームからのコミカライズをした作品であり、最初はアダルト雑誌に掲載されたということです。それをごく一部修整して、そのままコミックス化しました。なおかつ、原作のゲーム自体には 18禁のマークがついております。そのゲームがこの帯の袖に載っていますが「18禁」と入っています。これを見れば、このままコミックスとすれば当然指定の俎上に上がると思われます。
また、これはやはり近親者の性交類の描写が多いです。近親者の性交を描くのであれば、条例の第8条第1項第2号に該当する作品内容に配慮しないといけないと思います。ところが、この作品にはそれは全く感じられません。
逆に、近親者の性交がなければ、この作品はそのままスムーズに18禁マークを表示されなくても通っていたのではないかと思います。一番肝心のそこを見落としたかどうかはわからないのですが。雑誌に掲載されたときはアダルト雑誌でしたし、なおかつコミカライズした原作であるゲームも 18禁マーク表示つきで販売されております。ですから、この作品も当然、発売するのでしたら、すみ分けしたところで販売されないといけないのですが、18 禁マークが表示されていませんし、ちょっとこれは、もう少し大勢の人の目を通して発売すればこういうことはなかったのではないかと思われます。
これが私の報告です。

まず、専門委員の役割は図書の内容の調査であり、
諮問図書として俎上に上げるかの選定や、指定図書の選定、そして出版社の販売形態を論じる役割ではないことを記したい。
つまり、これは専門委員としてではなく、個人的な見解である点に注意したい。

その上でこの報告を読むと、販売形態(住み分けの是非)について論じられている部分で、
原作ゲームが18歳以上対象としてコンピュータソフトウェア倫理機構により審査されていること、
掲載雑誌では18禁マークがあり、表示図書としているのに本作はそれがなされていないことを理由に、
本作も自主規制として表示図書とするべきであると言及している。

しかし18歳未満販売禁止のゲームソフト、所謂アダルトゲーム作品が、
内容を調整して一般向けゲームとして販売されたり、一般漫画化される例は古くからあり、これらは枚挙に暇がない。
例を挙げれば、以前審議会でも言及された「ヨスガノソラ」は、アダルトゲームとして発売され、
その後、一般向けアニメ、コミックとして放映、発売された。
遡れば、keyというアダルトゲームメーカーから発売された「Kanon」「AIR」「CLANNAD」という作品は、
積極的に一般向けへの展開が行われ、ゲーム自体も一般家庭用として発売され、劇場用映画としても放映された。
また、18禁マークのついた雑誌に掲載された作品が、表示図書としてではなく一般作品として販売される例も少なくなく、
「妹ぱらだいす!2」が掲載された雑誌である「TECHGIAN(テックジャイアン)」においても、
過去には「魔乳秘剣帖」山田秀樹:著という作品が販売され、テレビアニメとして放映された例もある。
一方で同じく同誌で連載された「キャットウォーク」けろりん:著という作品は18禁マークが付されている。
つまりは自主規制はその時々、個別で判断されるものであり、
そしてそれを判断する責任を持つのは販売者、出版社等である、ということである。

予断であるが、年齢制限作品に関連する作品は、同じくそれを付さなければならないという見解は、
過去の審議会(もしくは事務の諮問図書の選定)でも垣間見えるもので、
映画倫理委員会によりR18+認定された映画に関連する作品が指定図書となった例が幾つか存在する。
平成25年10月指定
甘い鞭① 艶々:著 大石圭:原作(R18+映画「甘い鞭」と同じく小説「甘い鞭」を原作とする、小説は年齢制限なし)
平成25年12月指定
熱帯魚のはらわた はらざきたくま:著 ヒロモト森一:原作(R18+映画「冷たい熱帯魚」のスピンアウト作品)

関連作品といっても、内容がまったく違っている作品もあり、
審議会は、審査する対象の作品のみを見て青少年への影響を考えるべきである。
関連する映画、ゲームが年齢制限されていればその作品も自主規制するべきである、指定図書となりうるという見方は、
出版社の経済活動の自由を妨げる考え方である。
さらに審議会の形骸化、青少年への影響を考慮するという目的の喪失へとつながる。
この様な見解は出版社、および条例と審議会ともに害をなすものであると考える。

もうひとつ、「審議会の中で」出版社は自主規制すべきであるという発言が出ることに疑問がある。
何故なら審議会は「指定図書」を選定する場であり、
出版社が行う自主規制である「表示図書」を選定する場ではないからである。
「指定図書」は審議会で選定するものであり、その扱いには大きな罰則が付されるが、
「表示図書」は自主規制でああるため努力義務しかない。
もし、自主規制すべきであるとするならば、まず、出版社に対して「表示図書」とするように言うのが筋である。
それを断るのならば改めて「指定図書」とすればよいはずである。
しかし、それでは「表示図書」は自主規制ではなくなってしまう。
これは外部規制である条例に、出版社の自主規制という内部規定が具体的に記されていることによる齟齬であり、
条例は自主規制の文言を外す改良が求められる。

1.専門委員としての報告を怠っている
2.専門委員として審議会に出席できる立場を利用し、個人的な見解を述べている
・事務、審議会委員が判断することに関する意見
(諮問、指定図書が妥当であるという見解)
・出版社の現状と乖離した、事実と異なる意見
(18禁マーク付作品を原作とするものは、同じくそれを付さなければならないという見解)
(18禁マーク付雑誌に掲載されたものは、同じくそれを付さなければならないという見解)
以上の理由から、私はこの専門委員はその任を務めるに値しないと判断し、辞任を求めたい。
もしくは専門委員の更なる任命を求めたい。
○会長 それでは、図書をご覧いただけたようですので、改めて■■専門委員にご質問がございましたらどうぞ、お願いいたします。よろしいですか。
ご質問がないようでしたら、これから各委員からご意見を伺いたいと思います。
では一旦、■■専門委員には退席をお願いいたしたいと思います。
(■■専門委員退室)

なぜ専門委員は退室されなければならないのか。
一方で事務局の職員は退室した記載がない。
都の一職員でしかないはずの彼らが審議会委員の議論に参加できる理由は何なのか。

次回に続く。
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by k1kuraki | 2014-07-16 10:22 | 都条例