第647回 東京都青少年健全育成審議会 メモ 2/3

■子供の判断能力はどの様にして形成されるのか

指定図書の選定に関する意見が、これまでにない程多く出されているが、
審議会で議論されるのは、その図書が「青少年の育成にどの様に作用するか」という点であり、
それ以外の意見は指定の選定のための俎上に上がるものでない点に注意したい。

○会長 それでは、本日諮問された図書について各委員からご意見をいただきたいと思います。
○■■委員 2誌とも青少年の福祉を阻害するおそれがあると思います。いずれも区分陳列にふさわしい図書であると考えます。
○■■委員 2誌とも指定です。諮問図書類、番号2につきましては、施行規則第 15条第2項第2号の指定対象になると考えます。
○■■委員 私も2誌とも指定でお願いします。
○■■委員 私も2誌とも指定でお願いします。
○■■委員 私も2誌とも指定でお願いします。表紙だけを見ても、子供たちが手にとりやすい漫画チックな感じなので、手にして見てしまったらちょっと怖いなということと、これをもし男の子が見た場合、妹を見る目がどうなるのかなと。非日常的なことかもしれないけれども、これが当たり前のように判断能力のない子供たちが見てしまった場合、やはり小学生なんかはちょっと怖いなという気がしますので、本当にこれは指定でお願いしたいということと、1のほうも、青少年が買うわけはないと書いてあるのですけれども、やはりちゃんと区分陳列をすればいいことであって、わざわざ子供たちが手にとりやすいような棚に置くことはないと思いますので、2誌とも指定でお願いいたします。

子供たちが手に取りやすい絵柄である、手に取りやすい場所に置かれて販売されている等、
子供の接触の容易性について言及されている。
絵柄についてはその通りであり、上記でも触れたとおり、
一般作品とアダルト作品とは行き来を繰り返し、互いに影響を及ぼし合い、
また、作画者も同じく両者に跨り活動する例も多いため、絵柄での判別は難しいと思われる。

書店での配置については、まず単行本の形状について触れたい。
子供が読む少年誌に掲載されている作品の多くは、「新書判」という小さいサイズで単行本化され、
大人が読む青年向け作品の多くが採用している「B6版」とは違っている。
サイズが違うため、書店においてこれらは「空スペース」が出ないように、分け隔てて販売されていることが普通である。
さらに、購入者の利便を図るために少年向け、女性向け、青年向け、成年向けと細分化して置かれることに繋がり、
結果的に子供に見せない処置が自然に行われることとなっている。
性描写を含む作品が「ドラえもんの隣に置かれている」という発言が多々見られるが、
実際に書店へ足を運び、これら書店の努力を見れば誤解であることが容易にわかるだろう。
都の職員が図書を調査購入する際も、青少年が立ち入らないような場所からわざわざ購入しているような疑いもあり、
行政機関の主観が入らないよう、審議会委員が諮問図書を選ぶための図書を購入する段階から参加していれば、
この様な疑いもなくなるのではないかと思われる。

また、指定図書となった作品は、罰則がなくとも区分陳列がなされている表示図書と違い、重い罰則が付されている。
そのため、多くの指定図書が回収されているという情報もあり、
実際は書店で区分陳列されることなく、扱われること事態がなくなっているという現状である点を、
審議会委員は考慮されているのか疑問を感じる。
「子供たちが手に取り易いような棚」とはどの程度の事を言うのか、
委員がまず視察、思慮し、その上で意見を示して欲しく思う。

また、判断能力が途上である子供がその内容をどう捉えるのか未知である点が言及されている。
予想されるのは、兄弟姉妹間で図書内容をまねる事による、
性的接触の加・被害への警戒、および性意識形成の悪影響への警戒であると思われる。
しかし、これらの警戒への対策方法は、情報の遮断ではなく、性行為に関する知識の周知、教育である。
これらが正しく行われている上で、性行為を扱う作品は成り立っている点、
そしてその作品自体にも判断能力を向上させる要素が含まれるものがある点に注意しなければならない。

性行為を扱う作品の子供への悪影響は、
書店での自主的取り組みによる配置整理、
性行為に関する知識の教育、
そして保護者の監視と、様々な場所から幾重にも子供を加・被害から守る体制になっている点について、
それらを総合的に考えた上で委員には意見してもらいたい。

しかし、残念ながら現在の学校教育では、性教育として「性交」を教えられていない。
Q 5 性交 については、 どのよ うに扱 うのか ?
A 5 小 ・中 ・高校いずれ の学習指導要領 にも 「性交」は示されておらず、小学校においては「性交」を理解させることは困難である。小学校生活科で扱うとすれば、多くの人に支えられて誕生し成長したことについて触れる程度にとどめることが適切 である。 中学校第3学年においては、「感染症 の予防」のところで性 的接触として触れている。指導の内容については、単元の本来のねらいや生徒の実態に応じて、指導の内容を十分に検討することが必要であり、人間尊重の精神に基づく男女相互の望ましい人間関係の在り方などと結びつけて指導していくことが大切である。
東京都教育委員会HPより


別の例では、正しい性行為を教えるべく作られた小冊子などの教育現場での使用が否定され、
議論、改善が行われること無く縮小してしまっている。
(「ラブ&ボディBOOK」、「花王 ロリエ からだのノート」、「七生養護学校事件」等を参照されたし)

なぜこの様な現状であるのかを考えると、
それは子供達がどの様に性行為に対して向き合い、育っていくのを良しとするのか、という大局を見ずに、
性行為の情報を、深い思慮なく遮断するのが子供達に良いのだと言う考えに囚われている為と感ぜられる。
これを強行するような歪んだ体制となれば、警戒や懸念だけが肥大し、
正しい情報ですら遮断、教えることができなくなってしまう。
「判断能力の無い子供には(与えるべき情報として)懸念がある」のその判断能力の形成すら否定してしまうのは本末転倒という他無い。
この意見を言った委員には、正しい性知識とは何なのか、それを子供が学ぶ場とはどこなのかも同時に言及していただきたい。

また、条例の改正に反対していた「コミック10社会」には、この現状を鑑み、
肥大した行政機関でなく、特定の企業、国家と提携しているでなく、正しい情報を送る出版社という立場として、
新たに正しい性行為を教える小冊子の作成、配布で、積極的に青少年の育成を推進することを提案したい。
コミック雑誌の売り上げは、人気のものは100万部単位であり、
その影響力は大手新聞の部数と比べてもけして無視できるものではなく、
その多くの読者が青少年であることを考えれば責務であるとも感じる。
出版社の表現の自由を守るための責任とは、自主規制ではなく、
子供達のための教育という名の表現ではないかと思う。

予断であるが、性行為を題材とした漫画、アニメは数多く存在するが、
避妊具の描写がある作品は皆無に近い。
これは法律、条令、裁判の判例などから、性器を描くことを自粛している傾向からであると推測する。
避妊具の推奨を促す意味から、出版社には、避妊具を装着した性器を描写した作品の積極的出版を提案したい。
参考
コンドームの正しいつけ方(東京都福祉保険局)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/kansen/aids/yobo/con_tukekata.html


■これまでの説明と違う、「旧基準」の諮問図書選定の基準
○■■委員 ちょっと質問があるのですけれども、2番のほうを、新基準に該当するというのはおくとして、旧基準に照らしてはどのように判断しているのでしょうか。というのは、以前、旧基準にも当たるし、新基準に照らしても当たる可能性があるような本があったときは、旧基準に照らして該当するのであれば、あえて2号は適用せずに旧基準で該当しますという質疑があった記憶があるのです。そういう意味で、今回、旧基準に照らして2番はどういう判断をされたのでしょうか。
○青少年対策担当部長 この本については旧基準には該当しないと判断いたしました。
○■■委員 それはどのところで該当しないという判断をしたのでしょうか。
○連絡調整担当課長 全体的な性表現のボリュームなどです。今までの旧基準に指定したものに比べて、確かに後半の部分は若干性表現が激しいのですけれども、前半の部分について、今まで指定したものよりは性表現がおとなしい、ボリュームが全体的に少ないということです。
○■■委員 性行為のボリュームということですか。
○連絡調整担当課長 そうですね。性的描写ということになります。
○■■委員 ただ、精液が飛び散ったりとか、結構露骨な描写もあると思うのです。このぐらいで多分これまで諮問されてきたこともあるのかなという感じがちょっとしたのですけれども。
○青少年対策担当部長 ほかの旧基準で指定されていた本に比べると、少し質的・量的に少ないということで判断いたしました。
○■■委員 1つ目は、旧基準により指定該当ということでいいと思います。
2つ目ですけれども、今までの方がおっしゃったように、作品として見た場合に非常に拙劣ですし、例えば文化・芸術的な要素とか、そういうものも読んだ限りにおいて一切感じることはありませんでした。ただし、都議会の決議にもあったように、新基準の適用というのは表現の自由に照らしてやはり非常に慎重に考えてやるべきだと思います。その上で、私は、旧基準に照らしてこの2番目の本がどうかと考えたときに、確かに今、ボリュームが少ないという話はあったのですけれども、結構性交渉的なところがアップで描かれていたりとか、精液が飛び散っていたりとか、そういうものもあって、旧基準に照らして、十分とは言いませんけれども、確かに若干少ないかなという気はしますけれども、該当するのではないかなと私は思います。
先ほどの話と総合するのですけれども、旧基準に照らして、多分ぎりぎりとはいえ該当するので、あえて新基準を適用するまでもなく、旧基準で指定該当として区分陳列するのがいいのかなと思います。

ここで議論されているのは、「妹ぱらだいす!2」が「都が新基準で諮問した理由」ではなく、
「都が旧基準で諮問しなかった理由」である。
諮問図書の選定は、専門家が行なうのではなく、都の一職員によって行なわれるため、
都税で行なわれるこの選定は、その基準や理由が明確でなければならない。

まず、旧基準の指定図書となる基準は、「全裸・半裸」描写、もしくは「性的行為」の描写が「卑わいであるかどうか」である。
そして、都独自の諮問図書選定の基準として、
「性器の明確さ」、「体液の多さ」、「擬音の多さ」を判断基準としていると説明してきた。
しかし、ここでの議論では、「性行為のボリューム」と説明している。
(担当者の説明では「性表現」、「性的描写」という言葉を使っているが、
説明の内容と、「妹ぱらだいす!2」を読み比べると、それは「性行為」を指しているのは明らかである)
これまで説明してきた「性器の明確さ」、「体液の多さ」、「擬音の多さ」とはまったく違う基準であり、
これを恣意的選定と言わずになんとするのか?
また、「ボリューム」「量的に少ない」と説明しているが、それはページ数で判断しているのか?


■審議会の公開の必要性
○鵜飼委員 2誌とも指定でよいと思います。
○横山委員 2誌とも要件に十分該当しますので、指定でお願いします。
○■■委員 私も2誌とも指定ということでお願いします。
それから、先ほど■■委員からもお話がありました旧基準にも、私も見た感じ、値するのかなとは思うのですけれども、ボリュームがどの程度ということをどのように判断するのかというのはなかなかわからない、判断しかねるところがあるのですが、新基準と両方とも踏まえて該当するのではないかなと考えておりますので、先ほど申し上げた2誌指定でお願いをしたいと思います。
○■■委員 この2冊目については、出版界は大騒ぎになっています。それは、去年この新基準ができて1年間、なぜ該当するコミックその他が出ないのですかという取材は私のところにもありましたし、新聞を含めてみんな待っているのですけれども。文学の世界では兄弟の云々は結構あるのですよ。コミックになるとほとんどない。それで、附帯決議に該当するような部分、それがかなり今の世相への挑戦的な部分があるのかなと思っていましたけれども。これを見てみると正直余りにくだらないので、私は2つ指定でいいと思います。
ただ、こういう世相は実は本当はあるのかなと。私はわかりませんけれども、ここまでなくても、こういうのが出てくるということは、あるのかなとは感じます。
以上です。
○■■委員 2誌とも指定でいいと思います。
○■■委員 私も同じく2誌指定でよいと思います。
○■■委員 2誌とも指定でいいと思います。最近、妹ものというのが結構アニメであったり出ているというのがありまして、余りいい傾向ではないと私は思っております。

「この2冊目については、出版界は大騒ぎになっています。」という意見から、
この審議会が始まる前、すでに出版界は、新基準での図書の諮問が行なわれたことが知れ渡っていたことが分かる。
これは恐らく自主規制団体からの意見聴取に参加した方から漏れ伝わったと思われる。
ここで思い出されるのが、審議会の公開について議論された際、非公開と決定した理由のうちの一つに、
指定図書になるかならないかの段階で、そのタイトルが知られると、それに関わるものに不利益を与えるから、
つまり、指定図書にならなかった場合にあらぬ疑いをかけられるから、というものがあるがあった。
しかし審議会の公開でそのタイトルが知られる以前に、自主規制団体はそれを知っていることになる。
2 透明性の確保に関して
(1)審議会の公開・非公開について
各委員の以下の意見等を踏まえ、審議会の会議自体は、原則非公開とする。ただし諮問図書類について、作品の芸術性等について特に慎重に審議する必要があると審議会において判断する場合には、個別に、改めて公開についての議論を行う。
審議会自体の公開については、個別の図書類について、不利益処分となるか否かが決定される前の段階でその図書類の名前が特定 ・公開されることになり、相手方に不利益をもたらすおそれや、訴訟のおそれがあるのではないか。
○ 公開は正しく情報が伝わることが前提と考えるが、公開をしても正しく伝わる保証がない。例えば、発言の不正確な引用とか、発言の文脈や諮問図書の具体的な内容と切り離した断片的な引用がされるおそれがあるのではないか。
○ 委員への個人攻撃をされる等の混乱が予想され、不利益処分についての委員の自由な意見陳述が困難になるおそれがあるのではないか。
○ 匿名の部分もあるが、会議録を公開しており、十分、議論の内容自体の透明性は確保されているのではないか。
○ 諮問図書類となったものは、指定基準には達しないとしても、自主的な取組としての区分陳列の基準には達しており、青少年には閲覧・購入させないことが望ましいものであると考えられ、公開によって、いたずらに青少年の興味をあおったり、購買意欲をそそることの弊害も考慮する必要があるのではないか。


自主規制団体はさまざまな業界から成り立っており、お互いに利害関係がある。
< 自主規制団体メンバー :平成26年4月1日現在>
◇(一社)日本書籍出版協会2名 ◇首都圏新聞即売懇談会1名
◇(一社)日本雑誌協会6名 ◇東京都古書籍商業協同組合1名
◇(一社)日本出版取次協会3名 ◇東京都書店商業組合3名
◇(一社)日本フランチャイズチェーン協会1名 ◇出版倫理懇話会1名
計18名


つまり、審議会が公開される、されないに関わらず、審議されるタイトルに関わる者が不利益を被るのならば、
すでにその状態になっているのである。
したがって審議会が非公開となる理由に値しない。
また、審議会が行なわれる前に、諮問図書となったことを知ったその著者が、
ツイッターでそのことを公開し、問題提起した例もあるため、
審議会前のタイトル公開の不利益は軽微であること、それよりも指定図書となる不利益の方が遥かに大きいことが分かる。

審議会には以下のような問題がある。
1:審議時間が短く、図書の審査がしっかり行なわれていない疑いがある(30分程で終了している)
2:議事進行がごく少数の委員の独断で進んでいる疑いがある(事案確認の際『「異議なし」の声あり』で進行している)
3:審議会の形骸化の疑いがある(事務局の意見に従うのみで、第三者機関であることを自覚しない委員がいる)
これらの改善のため、審議会を公開し、透明性を図るべきである。

次回に続く。

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by k1kuraki | 2014-07-16 10:24 | 都条例