第647回 東京都青少年健全育成審議会 メモ 3/3

■「メディアとの関わり方」という教育
○瀧村委員 2誌とも指定でよろしいと思います。
○大須賀委員 2誌とも指定でお願いいたします。
○会長代理 1につきましては、そのまま指定で結構です。
2につきましてですけれども、これは旧基準、それから新基準におきましても、むしろ児童ポルノ的な内容について議論されるべき内容という気もいたしまして、区分して売るべきか否かと判断しましたら、区分して売っていただいたほうがいいでしょうと言わざるを得ない。ただし、これは近親相姦という1点を理由にして新基準適用の第1号という形にすることにはちょっと慎重にならざるを得ないという意味で、区分して売っていただきたいと強く希望し、指定することには反対いたしませんが、私としては新基準適用第1号という形での指定は保留とさせていただきます。

「妹ぱらだいす!2」に登場する人物は、作品中で年齢は明示されていないが、
学生服を想起させる服装から児童(18歳未満の青少年を指す)であると予想される。
このことを指し、「児童ポルノ」と称して言及していると思われる。
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」の第一条である目的を見ると、
それは実在する児童の保護であることが記載されている。

しかし、この作品は絵画であるため、保護する児童は存在せず、
より正確に、都条例で問題にされた言葉で言い換えれば、「非実在青少年による性表現物」である。
「非実在青少年」とは、2010年の条例改正案において使われた言葉で、それらの性表現の規制を行うよう記載されていた。
しかしその後、この規制案は立ち消えとなるが、未だに問題としている委員がいることがわかる。

これは委員の無知というよりも「非実在青少年」の議論が未だ未熟であるためと考える。
「非実在青少年」という言葉が使われなくなった経緯を振り返ると、
当時の石原都知事の鶴の一声でうやむやにされてしまったように感じる。
「非実在青少年」の問題は、都議会においては、条例の適用範囲があいまいである点が指摘されていたが、
それ以前に絵画による表現物の持つ特性についてもっと議論がなされるべきではないかと考える。

写真や、ビデオなど、現実にあるものをそのまま記録するメディアが存在する現在において、
歴史上、記録するための絵画はその役割がなくなっている。
それに代わり、より特徴付けられるのが、現実とはかけ離れたもの、フィクションとしての描写である。
特に顕著なのは社会規範に反した描写である。
写真やビデオが、どんなにファンタジックなものを撮ったとしても、そこに写る人物は現実に存在する。
そのため、これらのメディアは、ドキュメンタリーとしてでなければ、社会規範から外れたものを表現することが法律上できない。
しかし、絵画の中で描かれた人物には人権がない。
そのため法を犯すものを容易に描くことができるのである。
実写ではできない表現、これが現在の絵画の存在意義であるといっても良いかもしれない。

それを念頭において、条例の目的である青少年に対する影響を考慮するのならば、
出版物を規制する前に、まず大人が社会規範として、しなければならないのは、
表現物との接し方、捉え方を教えることであると考える。

その上で「非実在青少年による性表現物」の青少年に対する影響を考えると、
それは内容を模倣した不用意な性的接触による、女性の受胎、性感染症などが考えられる。
そしてこの問題の根本的解決はその表現物を青少年から遠ざけることではなく、青少年へ与える情報や教育である。
また、漫画の文化としての表現の多岐化、先鋭化は目覚ましく、
青少年の教育としてのメディアの役割を担うに等しくなっている。
(女性の妊娠、育児を扱った作品は数多くあり、未成年の妊娠を扱った作品もある)
その点でも安易な表現の規制を行うべきではない。

行政としての事務局の活動は置くとして、
これらを考慮に入れず、図書の危険性にのみ目を向ける審議会委員の質は疑われるべきである。


■審議会の独立性の疑い
○会長 ありがとうございました。
お三方から、新基準の適用についてはいかがかというようなこともございましたけれども、いかがしましょうか。
○■■委員 ちょっと私、言葉足らずだったかもしれませんけれども、これは新基準でしか諮問しないという諮問に対しての意見ということになるのですか。つまり、さっき私は旧基準だったら相当すると言いましたけれども、都のほうが新基準でしか出しませんということであれば、私は賛成しかねます。
○会長 これは諮問としては該当は新基準という形での諮問になっておりますので、そこでの判断になると思います。
○■■委員 そういうことであれば、新基準での諮問には反対します。
○■■委員 それは何条何項。
○会長 それは、先ほど言われました規則の第 15 条第2項第2号に該当するという形での諮問になっておりますね。
○■■委員 今の話の中で、さっきも私が意見として申し上げたのですが、こちらのほうですけれども、これは旧基準は適用しないのですか。それによって■■委員の考え方というか。
○■■委員 先ほどのお話だと適用しないということですね。
○■■委員 しないということですね。だから、私から見て、さっきも申し上げたけれども、ボリューム云々ではないと思うのですよ。ボリュームが多かろうが少なかろうが、やはり大人が見て、子供にこれは見せてはいけないというような判断を下したら、それは区分陳列をしてくださいと判断すべきだと思うので、そこはどのように考えられるのかということです。だから、そのボリュームがどの程度のボリュームなのかというのが明確に定められているのかどうか、すみませんが、私も勉強不足なので。
○■■委員 ないのでしょう、そういうものは。
○青少年対策担当部長 旧基準でいきますと、この1冊目と2冊目は、かなり強さといい、量といい、違うということはお感じになられているかと思います。今回の2冊目の本につきましては、先ほど申しました理由で旧基準には当たらないと判断いたしましたが、内容が新基準に当たるものでありましたので、今回諮問させていただいたところでございます。

先にも示したが、「妹ぱらだいす!2」が旧基準にあたらないと事務局が判断した理由は、
「性行為のボリューム」という、条例にも、諮問図書を選定する基準とも違う、まったく見たこともないものである。
委員が横から説明しているとおり、ボリュームの規定などなく、
事務局の勝手な判断で諮問図書が決定されていることが如実に分かる。
これを恣意的と言わずしてなんとするのか。

また、諮問が新基準であったからという勝手な理由で、旧基準の指定を暗に否定する審議委員会長の意見は、
審議会の第三者機関としての立場の否定を意味し、会長としての任が疑われる。
○■■委員 今そういうお話をされたので、あえて私は申し上げたのですけれども、結局、今、皆さんのご意見を聞いたときに、新基準としてこれをどのように判断するのかということだけでは見ていないわけですね。旧基準にも照らし合わせた中でこれが本当に望ましいのかどうかという判断を申し上げたわけですから、そこをちゃんとしてもらわないと、各委員の判断も変わってきてしまうと思うのです。
私は旧基準、新基準両方に当たると考えたので、区分陳列をしていただきたいということで申し上げたわけですけれども、そこの出し方によってちょっと判断が変わってきてしまう。
○青少年対策担当部長 今回は新基準として諮問させていただきましたので、こちらのほうの書籍が新基準に当たるのかどうかということをご判断いただく ことになるかと思います。
○■■委員 今の部長のご説明だと、新基準に当たるかどうかの判断をすると。仮に当たらないとなったら、区分陳列をしなくて青少年が簡単に手にとりやすくなるということになりますね。一方で今、■■委員は、これは旧基準でいいと、旧基準で指定すべきだとお考えになっている。となると、この図書は区分陳列されないわけですね。それはおかしいので、この本が世の中に出ていること、青少年が簡単に手にとっていいかどうかを条例の基準に照らして判断すべきであって、どちらの基準かどうかというのは二次的な話ではないかなと私は思います。だって、結局世の中に出てしまっているのだから。だめだとおっしゃっている方がね。それは理屈に合わないと思います。
○連絡調整担当課長 なお、仮に旧基準で審議する場合は、今までは新基準として自主規制団体からの意見等を聴取しておりますので、こちらで、これは新基準ではなくて旧基準で諮問すべきだということであれば、改めて旧基準として自主規制団体の意見を聞いた後にもう一度健全審を開くということになると思います。手続上、自主規制団体の意見をもう一度旧基準として聞かなければならない。
○■■委員 ちなみに、その新基準というのは旧基準も含まれたことですよね。新基準の部分だけをとって判断して、これはどうなのかという諮問なのですか。
○連絡調整担当課長 旧基準に該当したら、最初から旧基準として諮問をいたします。
○青少年対策担当部長 それがこちらの健全育成審議会のほうで、なるべく新基準については抑制的に規制をかける。まずは旧基準に当たるかどうかをやりまして、なるべく旧基準でやっていくということで考えております。

上では審議委員会長が否定していたが、
ここでは事務局の青少年対策担当部長、諮問図書を選定した当事者が、
今回の審議会での旧基準での指定図書の選定を否定している。
これは都による審議会への行き過ぎた関与である。

また、「事務局が諮問したのが新基準だから」という理由で、
2度の手間を自主規制団体、委員会に科すほど、
事務局の諮問(条例に基準の規定がない)は重大なものなのか?事務局は権限を持つのか?
この2度手間を科す行為は、審議会の旧基準の審議の拒否と受け取れる。
だとすれば、これは民主主義の否定であり、
言論の自由、表現の自由の侵害である。


■「指定図書とするための可否」か?「指定基準の可否」か?
○■■委員 新か旧か。つまり、専門委員の話にもちょっとありましたけれども、これの発行は KADOKAWA なのですよ。大出版社なのです。ですから、ニュースバリューはすごくあるのですよ。ところが、これの原本は 18禁、アダルトで出ているわけですね。そうすると、これにそれが載っていないのは、多分担当者が条例を全く知らないか、知識がないか、チェックする編集長なりも全然知らなかったか、極めてレアケースの問題が起きていないとそうなってしまう可能性はないのだけれども、そういう事情で出たもののはずなのです。これを KADOKAWA が、内容にすごく社会性があるので一石を投じたいというので出したのなら、基準で指定されようとどうしようと貫くのでしょうけれども、これは最初からこれですからね。マークをつけるのを間違えましたという話なので。
○■■委員 今のお話は非常に意味深い内容かなと思うのですけれども、これも前に私は質問させていただいたのですが、区分陳列をしてくれ、普通に置いてくれという判断は書店に委ねられるのですよね。
○■■委員 いいえ。
○■■委員 出版社側がこれを最初に書店に出すときに、区分陳列指定ですよと。
○■■委員 はい、決めるのです。
○■■委員 そうなのですか。なるほど、わかりました。
○会長 ほかにご意見はございますか。
○■■委員 変な言い方ですけれども、これがもっと激しいのだと新基準指定第1号でいいのですけれども、ちょっと中身が情けないですね。情けないのですよ。だから、最初のうちは、今回は勘弁してくださいよと申し上げようかなと思っていたのですが、できた事情を聞いてみるとそういう事情なので。私以外の人が指定とおっしゃったので、しようがないかなと。だから、どうぞそれでお決めくださいというようにします。
○■■委員 いろいろと意見を申しましてあれですが、できた事情がどうであるかということではなくて、この図書が条例の基準に照らして青少年の健全な育成に役に立つのか、あるいは阻害されるのかと、その1点を判断すべきであって、もろもろの事情は、話はもちろんしていいし、そこは聞いてみたいところですが、この審議会での議論に上げるべき話ではないと私は考えます。
○会長 ほかにご意見はございますか。
それでは、決定の前に一旦、■■専門委員にお入りいただきますか。ご意見をいただいたので決定の際には同席していただいたほうがよろしいかと思いまして。

下線で強調した部分の通り、「青少年の育成にどの様に作用するか」が審議会の議題である。
このことを確りと認識していらっしゃる委員がいることはとても心強い。

掲載された雑誌が成年向けだろうが、なかろうが、
出版会が騒いでいようが、なかろうが、
登場人物が大人であろうが、子供であろうが、
性行為のボリュームが多かろうが、少なかろうが、
大手出版社の図書であろうが、中小出版社の図書であろうが、
編集者が無知であるのがレアケースであるとか、
それらはこの審議会で議論するべきものではなく、
ただ一点、「青少年の育成にどの様に作用するか」が指定図書を選定する基準である。

このことは、審議会の開始時に必ず委員に周知することを求めたい。
○会長 ほかにご意見はございますか。
それでは、決定の前に一旦、■■専門委員にお入りいただきますか。ご意見をいただいたので決定の際には同席していただいたほうがよろしいかと思いまして。
(■■専門委員入室)
○会長 それでは、数々のご意見をありがとうございました。
■■専門委員にお入りいただいたのですが、何か再度ご質問等がございましたら、この際ですのでどうぞ。よろしいでしょうか。
それでは、新しい基準が初めてということで慎重に皆様方のご意見をいただいたので、これで指定か指定非該当かということで答申の準備を進めたいと思いますが、ご意見の中には、旧基準でも該当するというご意見もありました。ただ、諮問の該当基準につきましては、新基準ということでございます。大方の委員の皆様方が両方の図書については指定というご意見でございますので、2誌とも指定という形での取りまとめをさせていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○会長 それでは、2誌指定ということで答申をさせていただきます。
■■専門委員、どうもありがとうございました。

(定足数及び表決数)
第24条
2 審議会の議事は、出席した委員(会長である委員(第22条第3項の規定により会長の職務を代理す
る委員を含む。)を除く。)の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

「東京都青少年の健全な育成に関する条例」より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html

16人の委員の内、16人が指定該当(旧基準でのみに指定と思われる)の決により、
「オール体験デラックス Vol.1」が旧基準で指定。
16人の委員の内、13人が指定該当(新基準でのみに指定と思われる)、1人が旧基準、新基準両方の指定に賛成、
1人が旧基準にのみに賛成で新基準に反対、1人が新基準での指定は保留(おそらく旧基準での指定に賛成)
の決により「妹ぱらだいす!2」が新基準で指定。
20名の委員から会長を除く19名の委員の多数決で決められるため、出席者は17名、欠席者は3名であることが分かる。

毎回であるが、決の仕方が大変いい加減で、今回の審議会はそれがよく現れている。
まず、有害図書となる条例上、施行規則上の基準を、事務局が決めていること、
これにより決の可否が、指定図書とすることの可否か、指定基準の可否かわからなくなっている。
そのため、「新基準の諮問のため、否決されたら更に後日旧基準の採決を行う」という、
事務局主導の、民主主義とは到底思えない進行になってしまう。
本来なら委員が、新基準、旧基準、どの基準に当てはまるか、自由に指定する理由を述べて良いのである。
旧基準に於いても、「裸体の描写が卑わいであるから」「性行為の描写が卑わいであるから」の2種類両方について諮問しており、
どちらか一方だけで指定と審議会が決したらどうするつもりなのか?

諮問図書の選定は、誰からも疑わざるを得ない明確な基準を作成、
例えば新基準であるなら近親者間の性交を描いた作品全て、
旧基準であるなら裸体が描かれた作品全てを諮問図書とするべきである。
しかし、それは現実的ではないため、諮問図書の選定の段階から審議会委員の立会いを行うのが良いと考える。


■まとめ

専門委員
・新基準での諮問図書を調査するための専門委員であるが、「芸術性等は見られない」とその報告を怠っている。
 一方で業務とは関係のない、本来審議会委員がする意見である「諮問、指定図書であることの妥当性」の言及、
 出版社の現状と乖離した見解である「出版社の販売形態の批判」の言及を行い、専門委員個人の能力不足が疑われる。
・委員の審議の場に専門委員は退出させられる。一方で事務局の者は退出しない。
事務局
・「妹ぱらだいす!2」の例から、事務局が判断する「全編大部分」とはページ数で2割。
・諮問図書には付箋が貼られ、旧基準は「性器描写」「性的行為の描写」「暴力描写」の、
 新基準は、「近親者間の性交、または性交類似行為」の、「始まるページと終わるページ」に黄色の付箋が、
 人物の間柄が明示される部分に青い付箋が貼られる。
・旧基準の場合、付箋の場所は公開されていない。
・事務局が行う諮問図書の「旧基準」選定の基準に、これまで聞いたことのない、
 「性行為のボリューム」というものを用いていることが判明した。
審議会
・有害指定の理由として「絵柄で子供向けと判別できない」「子供が読んだ場合の影響の懸念」
 「区分陳列して欲しい」というものがあった。
・有害指定の根拠として児童ポルノという言葉が使用されたが、
 絵画作品である漫画はそれに当たらず非実在青少年による性表現現物である。
・新基準で諮問された場合、審議会は新基準で審査されねばならず、
 旧基準で審査するには、また自主規制団体の意見聴取からやり直されなければならないという事務局主導の進行で、
 審議会の第三者機関としての独立性が疑われる。
・諮問時に条例上、施行規則上の基準を決めてしまうため、審議会の審議が、
 「指定図書とするための可否」か「指定基準の可否」か分からなくなってしまっている。
条例、施行規則
・審議会委員が、審議会前に新基準で諮問された図書を閲覧したのか判明しなかった。
・審議会の始まる前に、新基準での諮問が行われたことが出版会に知れ渡っていた。
 情報の経路は自主規制団体からの意見聴取時が考えられる。


審議会の公開について議論されている議事録
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_610_menu.html#612
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by k1kuraki | 2014-07-16 10:26 | 都条例