都庁の人に聞いてきた!2(小原篤のアニマゲ丼)を読んで

■このブログと私自信の趣旨について

今回はかなり詳細な部分に触れるため、私自身やこのブログの趣旨が不明確になってしまうのを防ぐために、
始めに記しておきたいと思います。

1.青少年の健全な育成、福祉の保全を目的とする
 条例に記されている目的と同じく私も青少年の健全な育成を目的としています。
 しかし、審議会や事務局が選ぶ指定図書が、青少年の健全な育成を阻害しているとは私には思えず、
 また、条例に記載された指定図書に付する罰則は不当に重すぎると感じ、
 そして何より、これらは青少年の性に関する情報の取得や、自ら学ぶ機会を奪うものであると考え、
 私は都条例による表現規制に反対の立場をとっています。

2.企業、作家の表現活動、経済活動の保持、および知る権利の保持を目的とする
 企業、作家の表現活動、経済活動は、1.が守られている以上、最大限に尊重されるべきであると考えています。
 出版社や各種小売の行っている、ゾーニングによる自主規制は徹底されており、賞賛されるべきであり、
 さらなる自主規制を行わなければならない理由は、私には思い当たりません。

3.行政の不正な活動に対する監視、及び意思表示を目的とする
 1.2.が行政によって間違った方向に向かっていないか、不当に侵害されていないかを監視、考察し、
 それを民主主義に則って、意思表示しています。

今回は3.の内の、都が捉えている条例の解釈について触れています。


■「不当に賛美し又は誇張する」とは?

朝日新聞DEGITALで連載されている、小原篤さん執筆の「小原篤のアニマゲ丼」で興味深いインタビューが掲載されています。

都庁の人に聞いてきた!2(小原篤のアニマゲ丼)
http://digital.asahi.com/articles/ASG5Q7VY1G5QUCVL01N.html?_requesturl=articles%2FASG5Q7VY1G5QUCVL01N.htmlamp;iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASG5Q7VY1G5QUCVL01N
(無料で読めますが、登録が必要となっています)

インタビューを受けているのは、東京都青少年・治安対策本部総合対策部連絡調整担当課長・勝又一郎さんです。
記事では条例の、有害図書の新基準での指定について触れられています。

考察する前に条例に関して復習したいと思います。
まず、都は「指定図書」という青少年に有害であるという図書を毎月2、3冊ほど決め、
その図書の扱いに重い罰則を設け、制限しています。
指定図書を決めるまでの手順の内、都行政(事務局)が事務として行うのは、

1.図書の購入(毎月100冊以上)
2.諮問図書の決定(毎月2,3冊ほど)

の2つで、また、新基準で諮問するのか、旧基準で諮問するのかも都が決めています。
諮問図書とは、指定図書となる可能性があると事務局が判断し、選んだ図書のことを言います。
その後、選ばれた諮問図書は、青少年健全育成審議会で審議され、指定図書となります。

条例に記載されている新基準についての記述はこちらで、
(不健全な図書類等の指定)
第8条、第1項、第2号
二 販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、第7条第2号に該当するもののうち、強姦等の著しく社会規範に反する性交又は性交類似行為を、著しく不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく妨げるものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの

(図書類等の販売等及び興行の自主規制)
第7条 第2号
二 漫画、アニメーションその他の画像 (実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

1 東京都青少年の健全な育成に関する条例(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html

条例に記載されている東京都規則のうち、近親者間の性行為について記載されているのはこちらです。
(指定図書類、指定映画等の基準) 第15条 第2項 第2号
  条例第8条第1項第2号の東京都規則で定める基準は、次の各号のいずれかに該当するものであることとする。
二 近親者間 (民法 (明治29年法律第89号)第734条から第736条までの規定により、婚姻をすることができない者の間をいう。)における性交等を、当該性交等が社会的に是認されているものであるかのように描写し若しくは表現し、又は当該性交等の場面を、みだりに、著しく詳細に若しくは過度に反復して描写し若しくは表現することにより、閲覧し、又は観覧する青少年の当該性交等に対する抵抗感を著しく減ずるものであること。

2 東京都青少年の健全な育成に関する条例施行規則(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html

条例と施行規則を詳しく見ていきます。
条例に記載されている「賛美し又は誇張する」とは何でしょうか?
これはおそらく、東京都規則に記載されているもののうち、それぞれ、

「賛美」→社会的に是認されているものであるかのように描写
「誇張」→反復して描写

を指しているものと考えられます。


近親者間における性交等を、
 当該性交等が社会的に是認されているものであるかのように描写し若しくは表現し、 (条例の言う賛美)
 又は当該性交等の場面を、
  みだりに、
  著しく詳細に
  若しくは過度に
   反復して描写し若しくは表現することにより、 (条例の言う誇張)
閲覧し、又は観覧する青少年の当該性交等に対する抵抗感を著しく減ずるものであること。



「賛美」と「誇張」は「又は」で繋がっていますので、どちらか一方でも該当すれば、指定図書になりうるようです。
つまり、賛美していなくても、誇張して描いているだけでも指定図書になると考えられます。
誇張がもし、図書内のページ数の割合を示しているとすれば、
新基準での指定は、包括指定のような方法を採っている可能性があります。

また、旧基準と違い、新基準は強姦、近親者間の性行為という、見た目や文面から判断しやすい基準があります。
したがって、事務局はそれらが描かれた図書は全て諮問図書とすると、事務的に判断することが可能であるため、
「不当に賛美し又は誇張する」という部分の判断はしていないように思われるのですが、
過去に「ヨスガノソラ」という作品が、この基準に該当せずとして、事務局側で一方的に破棄されてしまったことがありました。
〇青少年課長 それでは資料の 20 ページをご覧ください。4 月処理分の都民の申出でございます。
まず 1 番。メールによる申出が 1 件ございました。内容は 「性的な描写のあるテレビアニメについて」で、兄と妹の近親相姦シーンを含む 5 作品につきまして、都民から指摘がありました。1 作品は DVD になっているものを購入して確認を行いました。他の 4 作品につい てはインターネットの動画で確認いたしました。このうち 「ヨスガノソラ」とい うアニメが兄と妹の近親相姦を描いております。ただ、社会的に是認されているかのように描いたり、あるいは必要以上に反復して詳細に描いているというものではありませんので、新基準等には該当しておりませんでしたその他のアニメ 4 作品につきましては、いわゆる旧基準の対象 となりますが、いずれも該当するものではありませんでした。


つまり、事務局は「不当に賛美し又は誇張する」という判断までを含めて、諮問図書を決定していると考えられます。

ここまでをまとめます。
・新基準の定める賛美し又は誇張するとは、それぞれ、「賛美」→社会的に是認されているものであるかのように描写
 「誇張」→反復して描写 を表す様である。
・事務局は、諮問図書を決定する際、ただ「強姦、近親者間の性行為」が描かれているかのみだけでなく、
 「不当に賛美し又は誇張する」かまで踏み込んで判断している。


■都が捉えている新基準の考え方

以上を踏まえて記事を読んでみると、インタビューを受ける担当課長は、
「不当に賛美し又は誇張する」とは、審議会の判断であると頻りに仰っていますが、
審議会の判断とは「指定図書」を決定する際の判断であり、
都は同じように「諮問図書」を決定する際にこの基準を用いているはずですが、それには言及されていません。
あまつさえ、記者が考える基準の解釈を蔑ろにするような不誠実なことまで言われています。
一般市民の判断基準より、都の職員の判断基準を重んじるということなのでしょうか。
「妹ぱらだいす!2」を先ず選んだのは都の職員であることを見失ってはいけません。

最も注目すべき箇所は、「不当に賛美」の基準の解釈です。
担当課長はこの基準を「(主人公たちが)いけないことだと思わない」ことと表現しています。
この表現を借りるのならば、4つの段階で「賛美」を表すことができ、

1「良いことだと、思う」(積極的肯定)
2「いけないことだと、思わない」(消極的肯定)
3「良いことだと、思わない」(消極的否定)
4「いけないことだと、思う」(積極的否定)

と書くことができます(数字が小さいほど賛美の度合いが高い)。
更に「よくないことだと表現されていない」ため不当に賛美であるとも答えているため、
有害図書とならないためには、4の「いけないことだと、思う」という描写が不可欠であると考えているようです。

ここで考えられる問題は、小原篤さんも指摘されているとおり、一般に「不当に賛美」と言うと、
近親者間の性行為を、1の「良いことだと、思う」、積極的肯定と描写することのみであると普通は思うため、
2の「いけないことだと、思わない」と受け取れるから、
4の「いけないことだと、思う」という描写がないから、を「不当に賛美」と捉える様な、
事務局、審議会の認識と、一般的認識とに剥離が見られる点です。


■「妹ぱらだいす!2」の内容と、都の解釈の矛盾

では都の解釈と作品の内容を実際に見比べて見ます。

1.賛美:社会的に是認されているものであるかのように描写
この作品内では登場人物が圧倒的に少なく、会話が成立しているのは、主要兄妹のみであるため、
社会的認識を推察するには、彼らのセリフからでしか行えません。
しかし、近親者間の問題について明確な描写が一箇所あります。
P29において、寝ている妹の体に触れようとする兄のセリフとして、
「俺は自分の妹に何をしようとしてんだ!」と言い、思いとどまるという場面です。
c0252112_20124418.png

これは明らかに否定する言葉であり、賛美とは逆のもので、
先ほどの4「いけないことだと、思う」(積極的否定)に当たると思われます。
インタビューに答えた担当課長の説明にある、「よくないことだと表現されていない」とは明らかに違っています。

2.誇張:反復して描写
これは別府資料1 平成26年5月 諮問図書に係る該当指定基準等
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_646_menu.html#647
から、賛美しているかは別として、近親者間の性行為、性交類似行為の該当ページが記されており、
そこからページ数を導くことができます。

2話:46-49 計4ページ
3話:70-74 計5ページ
4話:92、94-98 計6ページ
5話:118-121 計4ページ
6話:138-146 計9ページ
7話:167-169 計3ページ
書き下ろし:175-177,179-180,182-183,185-186,188 計10ページ
合計41ページ

作品全体のページ数は192ページであるため、約2割が近親者間の性行為、性交類似行為の描写に割り当てられています。
しかし東京都の有害図書は、包括指定と違い、個別指定を行っています。
したがって、誇張:反復して描写、の判断は別の方法を採っている可能性があります。
また、施行規則には反復の前に、ⅰみだりに、ⅱ著しく詳細に、ⅲ若しくは過度にという条件がつきます。
これらについては判断が難しく、このブログでは判断を置くことにします。
記事内においても誇張については、詳しい言及がされていませんでした。

■まとめ
過去の事例から
・都の事務局は、新基準で諮問図書を決定する際に、「強姦、近親者間の性行為」の描写だけでなく、
「不当に賛美し又は誇張」しているかどうかということまで判断している。

インタビューから
・都が考える「不当に賛美」とは、「いけないことだと、思う」(積極的否定)という描写がないことであると捉えている。

「妹ぱらだいす!2」を読み比べて
・「いけないことだと、思う」(積極的否定)という描写があったが、
諮問図書を決定する際、都はこれを無視した。

できるだけ客観的に考察するように勤めてまとめました。

しかし最初にも言いましたが、これらはかなり細部の話になります。
作品内の描写や、条例の解釈は、青少年の健全な育成を目的にしています。
「妹ぱらだいす!2」を読んだ影響で、青少年が近親者間の性行為を行うようになるとは思えません。
仮にそれらを心配するのならば、都が率先して近親者間の性行為を行わないように周知を徹底すれば良い話です。
例えば「妹ぱらだいす!2」に、東京都の名でそれを知らせる紙を貼り付ければ良いでしょう。
30万円の罰金という罰則をもうけ、表現の自由と経済活動の自由を妨げ、
都税を使いこのようなことをする理由はないと私は思います。
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by k1kuraki | 2014-05-29 13:47 | 都条例

都条例、審議会、事務局についての考察まとめ 2/2

■審議会の様子
それでは、「快感トリップ凛」が実際に指定された第622回審議会の議事録を見てみます。
その前に、自主規制団体の意見の様子を見て見ます。
この自主規制団体の意見とは、
審議会に入る前に出版業界や流通業界の代表者が行う諮問図書の読み合わせ会において、
出された意見の事を言います。
また、勘違いしやすいのですが、この自主規制団体の意見による票数には、指定図書となる根拠はないことに注意してください。

(審議会への諮問)
第18条の2
2 知事は、前項の規定により、東京都青少年健全育成審議会の意見を聴くときは、第7条から第7条の3までに規定する自主規制を行つている団体があるときは、必要に応じ、当該団体の意見を聴かなければならない。

2 東京都青少年の健全な育成に関する条例施行規則(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html


< 自主規制団体メンバー :平成26年4月1日現在>
◇ (一社)日本書籍出版協会2名 ◇首都圏新聞即売懇談会1名
◇(一社)日本雑誌協会6名 ◇東京都古書籍商業協同組合1名
◇ (一社)日本出版取次協会3名 ◇東京都書店商業組合3名
◇(一社)日本フランチャイズチェーン協会1名 ◇出版倫理懇話会1名
計18名



「快感トリップ凛」は、次のような意見が出されました。

・修整されているものの、性描写が多く指定やむなし。
・ストーリーはあるが、医者が少女を強姦、高校生という未成年への暴力等刺激的な場面が目立つ。指定該当
・制服風の登場人物、薬物の使用場面等があり、指定やむなし。
・明らかな 「少女姦」である。指定該当
・マンガのタッチが下手で卑わい感は受けないが全体的にレイプ的な内容が気になる。修整はあるが、指定該当
・修整はかなり気を使っている。設定が17歳高校生ということを考えると、難しいところだが指定やむなし。
・性器部分の修整はされているが、未成年を対象とし、表紙も青少年に取りやすく、成人マークが必要。保留
・レイプ的な部分はあるものの、男女ともきれいに修整されこの程度は問題ない。指定非該当
・人格を否定するような箇所があるが絵が下手で卑わい感がない。指定非該当
・反倫理的な内容だが性的描写の露骨さはこれまでの作品に比べ低く、著しいとまではいいがたい。指定非該当
・ストーリー性があり、全編性描写というわけでもない。性器の修整も完全にされている。指定非該当
・絵が下手、ストーリーがある、性器の修整がしっかりされている等、この程度であれば指定非該当

「資料2 諮問図書:自主規制団体からの意見聴取結果」より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_622_menu.html#622

「指定やむなし」 6 名、「保留」 1 名、「指定非該当」 5 名となっています。
しかし、「指定やむなし」の中に、「少女姦」「強姦」「レイプ」など、
新基準での指定を思わせる意見の方が3名います。

それでは審議会委員の意見を見てみます。
長くなりますが、該当部分を抜き出してみます。
その前に補足として、この審議会では、「ACTION COMICS あいにーじゅ」
「マンサンQコミックス 堕ちた人妻たち」「快感トリップ凛」の3誌が諮問されており、
文中3番と記されているのが「快感トリップ凛」を指します。

〇会長 では、ご覧いただけましたので、各委員から順次ご意見をいただきたいと思います。
〇■■委員 すべて指定でお願いします。
〇■■委員 3 誌指定やむなしと考えます。
本の番号の 1 番だけ、残 りと違って 11 件の聞き取り内容、残 りは 12 件のように思いますが、この一つ足 りないとい うのは、どうしてでしょうか。
〇佐藤青少年課長 1 番につきましては、自社発行物があるとい うことで、意見表明無しという方が、いらっしゃいました。
〇■■委員 なるほど。分かりました。
〇■■委員 3 誌とも指定すべきと考えます。
〇■■委員 私も3 誌とも指定でお願いします。
〇■■委員 3 誌指定でお願いいたします。
〇■■委員 3 誌指定で結構です。
〇中村委員 3 誌指定でお願いいたします
〇■■委員 1 番 と2 番が指定該当、3 番が保留でお願いします。
1 番は、これはそのとおり、卑わいシーンも多いので、当然だと思いますけど、意見聞き取り内容の中で、下から 4 番目、「成人マークを付けた方がいい」と言っておきながら、保留と言っている自主規制団体の方は、ちょっと中身理解 してないんじゃないか、とい う気がいたしますので、もう少し検討していただければと思います。
2 番につきましては、指定該当でいいんですが、中に 19 作品載っているうち 12 作品が指定該当、7 作品が指定非該当で出されておりますが、3 番 目の保留との兼ね合いで、なぜ保留にしたかとい うところなんですが、3 番目の作品、例えば聞き取り内容の 「修整されてるが性描写多く、指定やむなし」、ここは第 1 項でいいんですが、2 つ目以降、高校生が云々とか、明らかな少女姦、これ、明らかに第 2 項該当の内容なんですね。これをもし第 1 項で判断するとなると、今後、2 作品目の 2 番 目に出てきた 「マンサンQ コミックス」の方の指定該当になっていない 7 作品、中に入っている短編の部分の 7 作品との整合性をどう取るのか、とい うところが、私には疑問に思います。
具体的に申し上げますと、例えば 2 番 目の作品の 「堕ちた人妻たち」の中の 1 番 目に出てくる、例えば 「やさしいお姉さん」、これは明らかなレイプシーンが入っております。それから 「マリッジピンク」とい う作品も、若干それっぽいかなと。それから性描写とい う意味では、「官能小説の教え」あるいは 「アブノーマルな性癖」等も、性描写としては 3 番 目の作 品と同等、もしくはそれより強い作品であると思われますが、事務局側 としては、これを指定該当に入れてないんですね。全く指定非該当で出してる 2 番 目のものと比べて、3 番 目の作品が明らかに該当されるとい うふ うに見えないにもかかわらず、これを指定するとい うのは、私はちょっと該当すべきじゃないんじゃないかと。従いまして、これは第 2 項で判断するとい うかたちで出すべきだと思いますので、これは保留だとい う判断をさせていただきたいと思います。


ここまでの議論の中から補足します。
まず「第1項」とは旧基準を、「第2項」とは新基準のことを指します。
そして2番目の作品とは「マンサンQコミックス 堕ちた人妻たち」のことを指し、
この作品は「アンソロジー」という著者が複数いる図書になります。
描かれている作品数は19作品で、そのうちの12作品が指定該当、7作品が指定非該当として諮問されています。
最後に意見を述べた委員の方は、「快感トリップ凛」を新基準について言及しながら、
「保留」としている点に注目してください。
指定図書は審議会によって決められます。したがって保留とせず、堂々と新基準で指定と言ってよいはずです。

〇■■委員 3 誌とも指定でお願いいたします
〇■■委員 3 誌とも指定でいいと思います。
〇■■委員 同じく3 誌とも指定でいいと思います。
〇■■委員 3 誌指定でいいと思います。
〇■■委員 3 誌指定でいいと思います。
〇水田委員 すいません。私ちょっと今日初めてなんですけど、ちょっとめくっただけで、判断は付きかねますけれども、これ、青少年 と言ってますけど、何歳ぐらいの子供を言ってるんですか。青少年 と言っても、例えば 19 歳の子もいるでしょうし、14 歳の子供もいますけれど、これ、一括して青少年 として言ってるわけですか。
〇青少年課長 東京都の青少年健全育成条例上の青少年 と言いますと、18 歳未満 とい うことになっております。
〇水田委員 17 歳もいれば、12 歳のお子さんもいるわけですよね。例えば 17 歳の子供 と 12 歳のお子さんが見るのでは、やっぱりちょっと違 うと思 うんですね。我々鑑別所が扱っているのは 12 歳ぐらいから19 歳ぐらいを扱ってますけど、やっぱり、この青少年期 とい うのは非常に変動の激 しい時期で、13 歳の子に見せる刺激 と、17 歳の刺激はちょっと違 うかと思うんでね。
とい うのは、鑑別所でいろんな図書が差し入れられるんで、入れるか入れないか、いつも悩むんですけどね。でも、やっぱり 12 歳の子に、さすがにこれは見せ られないだろう、とい うこともあるし、19 歳の子だったら、もう大人であるし、このくらいの刺激は塀の外だって巷に流れてるものもあるだろうと考えます。ですから、青少年 と言いながらも非常に幅広であるので、各年齢層を細かく吟味しなければ、何 とも言いがたいなとい うことが一つです。
いずれにしても、今パラパラとめくった範囲では、ちょっと判断付きかねますので、第 1、第 3 については保留させていただくとともに、2 誌 目については、これは卑わいだろうなという私の感触でありましたので、これは年齢が 17 であっても、かなりリアルな過剰描写があったかなとい うふ うに、私の感触では受けましたので、2 番 目の本については、指定やむなしと、1、3 については保留、とい うことにさせていただきたいと思います。
〇■■委員 今、水田委員のご発言に関して。私も一委員でありますが、ちょっと意見を申し述べたいと思います。パラパラめくるだけとい うふ うにご発言がありましたが、この本は早い時間からこのお部屋で見られるようになっていまして、意識のある方、時間のある方は、早く来て、これを丹念に読むことができます。たまたま今 日はお初だとい うことで、その仕組みが伝わってなかったのかもしれませんが、パラパラ見て、ちょっと見て判断するとい うことではないとい うことを、一委員ですが、申し上げたいと存じます。
あと、私たち、この図書を、何するかと言 うと、発行止めとかそうい うことではなくて、あくまで成人向けと子供向けと区分陳列をしようとい うのが、この委員会の目的だろうと思っています。例えば小学生なり中学生もコンビニエンスス トアで簡単にこの本が買えていいだろうか、それを判断するべきであって、それは青少年 と言ってもいろいろありますが、逆に言 うと、若い子供たちもコンビニでこれが買えるとい うことでありますから、そこもご斟酌なさったらいかがかなとい うふ うに、一言申し上げます。
〇■■委員 私も、水田委員が当然その発想を持つこと自体はいいと思 うんです。ただ、私自身の考え方ですけども、条例をそのまま読むんであれば、これは 18 歳で基準なんですね。つまり、18 歳未満に見せるかどうか、なんですよ。12 歳、13 歳とい うのが必要であれば、それは条例改正をしなきゃいけないんです。私は委員の立場でそう思ってます。それが足 りないとい うんだったら、それは青少年健全育成審議会等でそうい う問題があるよ、条例にそうい う箇所があるよ、とい うところであれば、それは、意見を出してもらって、議会で検討する話であって、現状の条例は、青少年は 18 歳未満で一律に切ってる以上は、17 歳ですら見せちゃいけないもの、とい うことで判断すべきだと私は思ってます。これは、個人的な意 見ですので、参考にしてください、とい うレベルの意見ですが、一応申し上げました。



余談ですが、諮問図書の閲覧について、「パラパラ見て」という意見が出ています。
それに反論して審議会前に早く来て読むことができるという意見が出ています。
しかし、なぜ審議会内でじっくり読むことが出来ないのでしょうか?閲覧に時間制限が設けられているのでしょうか?
おそらく閲覧とは、図書をまわし読みすることではないか、
そして十分な図書を用意していないのではないか、と予想されます。
最近では審議会が30分程で終わってしまうことも珍しくなく、
20人の委員が回し読みをするとなると、一分も読んでいないのではないかと予想される回があります。

〇嶋村委員 3 誌指定でお願いします。
〇会長代理 3 誌指定で結構なんですが、今いろんな委員の方から意見が出ましたので、私もちょっと申し上げますけど、コンビニとかで一般の漫画とか書籍 とかと混在されて売ってもらうのは、ちょっとよろしくなかろうとい うことで、成人用と一般用と表示 してくださいとい う、できるところはそこまでです。今回の諮問の内容が、事務局の該当の指定の仕方が、確かに、ちょっと、なぜかなとい うところもなきにしもあらずなので、今後はもう少し、こうい うふ うに細かく指定されるのであれば、説明を尽くしていただきたい、とい う感 じはいたします。ただ、そうい うことを除きましても、やはり一緒に売らない方がよろしかろうとい うことで、3 誌とも指定とい うことでお願いします。
〇会長 いろいろご意見をいただきまして、ありがとうございます。今までいただいたご意見の中で、3 番 目のものについては、保留とい うご意見がお二方、それから 1 番 目について、保留とい う方はお一方いらっしゃいましたけれども、大方の皆さんのご意見が、3 誌指定と い うご意見でございますので、3 誌指定ということで答申してよろしゅうございましょうか。
〇■■委員 一点だけ確認 していいですか。答申には、全く僕はそれでいいんですが、事務局に一応確認だけさせてください。3 番 目の書籍の該当箇所、イ、ロとい うのは、具体的にはイ ・ロのどこを考えて、とい うところだけは、お教え願いたいんですけれども。もちろん全編にわたっていろんなシーンがあるので、いろいろです、とい う話になる可能性もあるとは思 うんですが。
〇青少年課長 まさにイ、ロ、両方 ともとい うところにあります。イの方は、全裸若 しくは半裸、これに近い状態の姿態を描写、卑わいな感 じを与えると。ロの方は、性的行為を露骨に描写、又は表現する、卑わいな感 じを与えると。
〇■■委員 例えば、人格否定のところに該当している、とい う判断ではないんですか。それは入ってる、と思った方がいいですか。
〇青少年課長 人格否定的な要素もある、とい うふ うには考えております。
〇■■委員 要素もある、とい うかたちですか。分かりました。
〇会長 他によろしいですか。
意見をまとめさせていただきますと、先ほど申し上げましたように、保留の方もいらっしゃいましたけれども、大方のご意見で、3 誌指定とい うご意見が多ございましたので、その ように答申して、よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
〇会長 ないとい うことですので、3 誌指定とい うことで、答申をさせていただきます。



最後の意見にあるように、「快感トリップ凛」は、施行規則第15条 第1項第一号 イ・ロに該当、
そのうちの「卑わい」に当てはまり、文脈から察すると、「人格否定」は当てはまらないと事務局は考えていたようです。
審議会の結果としては、保留が2人見られましたが、それは事務局の曖昧さを受けてのものであり、
審議会の第三者機関としての独立性が疑われるものでもあります。

まとめますと、「快感トリップ凛」は、
事務局によって、
・「擬音の多さ」(都独自の著しく性的感情を刺激するという基準)により判断。
・「半裸、全裸描写」「性的行為を露骨に描写」することにより「卑わい」に感ぜられると判断。
審議会では、
・16人中14人が指定該当、2人が保留(うち1人は新基準について言及)で指定図書に至る。
となります。

この「快感トリップ凛」のように、ここまで事務局の指定基準が明確にされた作品はありません。
この作品は第1巻目にあたり、翌月の4月28日に第2巻が発売予定でありましたが、
この指定を受けてか、急遽発売中止となってしまいました。
4月9日に審議会が行われ、翌10日に発表がありましたから、
発売2週間前のことになります。
「妹ぱらだいす!2」は出版社が回収を行いましたが、青少年に悪影響を与えると指摘された以上、
企業の行動として敬意あるものであったと思います。
(追記:140522 しかし、青少年以外の知る権利が失われたと言えます。
 指定図書としての罰則は残ると思われますが、表示図書として販売してほしく思います。)
その命運を握る機関である審議会には、条例に対して真摯なものであることを望みます。

■まとめ

事務局について
・図書の購入、諮問図書の決定、審査基準(旧基準か新基準か)の決定を行い、
 それらの内容は都民に知られることのない場所で行われることで、その恣意性が疑われ、実際に疑わしい例がある。
 また、旧基準に関してダブルスタンダードで行われ、
 出版社に対しては緩い基準を、審議会においては厳しい基準を用いている。
 緩い基準に関しては新条例作成時にも、その根拠として用いられた。

審議会について
・事務局に対して大きく依存する姿勢が垣間見られる。
 第三者機関であり、都とも出版社とも距離を置き、
 条例に則して活動する独立性がさらに求められる。

条例について
・旧基準は一般に認識されるよりも、とても厳しい基準を持っている。
 したがって、新基準は旧基準に内包されるものであり、
 実際にそう疑われる指定図書の例がある。
 新基準の設定は、単に事務局の権限の拡大に使われているように感じられる。


最後に私なりの改善案を提案させていただき、終わりにしたいと思います。

事務局の恣意性については、審議会委員の立会いを、全ての事務手続きにおいて求めたい。
また購入した図書のタイトルを公表することで恣意性、不正のないことを知らせることを求めたい。
審議会については専門委員の常駐を求め、新基準の審査を常時出来る体制を整えていただきたい。

条例については、表示図書の区分陳列が行き渡っていることを考慮し、
指定図書の罰則規則を撤廃し、表示図書と同じ努力義務として書店での扱いを容易にすることで、
審議会の結果を一般に知らせ易くするよう改正を求めたい。
ただし、そのときには指定図書であることを明示できるように、図書に加工を施してほしい。
出版社については、不当な不利益を直接被る立場であり、新条例の憲法違反を主張することを求めたい。
また、都側に青少年の健全育成を担う能力が不足していると判断されるため、
積極的に青少年の育成を推進し、パンフレット作成など、その啓蒙の役を自ら進んで行うことを期待したい。




■図書の取り扱いについての注意

18歳未満の方へ

ここで取り上げている漫画作品、「快感トリップ凛」、
「妹ぱらだいす!2 ~お兄ちゃんと5人の妹のも~っと!エッチしまくりな毎日~」は、
東京都青少年健全育成審議会によって「指定図書」となりました。
指定図書となった作品は、その扱いに著しい制限が加えられ、
都内の販売者は、販売、包装、陳列に違反した場合、重い罰則を受けることになります。
18歳未満の方は購入されないように、また、包装を破いたり、陳列されている場所から移動させないように気をつけてください。

(警告)
第18条 前条第1項の知事が指定した知事部局の職員は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、警告を発することができる。
一 第9条第1項の規定に違反して青少年に指定図書類を販売し、頒布し、又は貸し付けた者
二 第9条第2項の規定に違反して同項の規定による包装を行わなかつた者
三 第9条第3項の規定に違反して同項の規定による陳列を行わなかつた者

(罰則)
第25条 第18条第1項各号、同条第2項第1号から第3号まで若しくは第5号から第9号まで又は同条第3項の規定による警告 (同条第2項第4号に係る場合を除く。)に従わず、なお、第9条第1項、第2項若しくは第3項、第10条第1項、第11条、第13条第1項 (特定がん具類に関して適用される場合に限る。)、第13条の4第1項若しくは第2項、第13条の5、第15条第1項若しくは第2項又は第15条の3の規定に違反した者は、30万円以下の罰金に処する。

1 東京都青少年の健全な育成に関する条例(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html

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by k1kuraki | 2014-05-20 21:56 | 都条例

都条例、審議会、事務局についての考察まとめ 1/2 (画像なし)

東京都青少年健全育成審議会では、毎月数冊の有害図書を指定(指定図書という)し、
その扱いに規制を加えています。
しかし、その指定は第三者機関である審議会に権限が与えられています。
審議会に行政機関が事務という形で携わり、その権限に抵触する以上、
その事務の情報公開は最大限に行われなければならず、
行政、審議会共に条例に誠実でなければなりません。
では実際にそうなっているのか、条例や施行規則、
都が公開している情報などと照らし合わせながら考察して行きたいと思います。

■事務手続き
審議会の事務は、東京都青少年・治安対策本部の青少年課で行われています。
審議会の議事録では、事務局と呼ばれています。
8 事務
審議会の庶務は、青少年 治安対策本部総合対策部青少年課において行う。


そして審議会で審議されるまでの事務手続きは、以下のような流れで行われます。

1:書店、コンビニなどで調査対象となる図書の購入(月に100冊以上)
2:基準に基づいた諮問図書の選定(月に2冊程度)

購入する図書の対象は、一般で発売されているものに限り、
その判断は図書類の題名、表紙、帯の文言等からされ、
表示図書やシール止めされた雑誌(類似図書)は、今のところ含まれていないようです。

(イ)不健全図書類名以外の図書類名等を公開することにより、不健全図書類の指定に関する業務の効果的な遂行を不当に阻害するおそれがある(条例7条6号)
都が調査購入する図書類は、図書類の題名・表紙・帯の文言等から判断して、若しくは都民からの申出に基づいて、「青少年の性的感情を著しく刺激する」等の指定基準に該当する可能性があると推認したものである。それらの図書類のすべてが公開されると、指定基準に該当する可能性があるとして購入してきた図書類の題名・表紙・帯の文言等の共通点や特徴が、出版社に明らかとなる。その結果、内容が不健全指定に該当しうる図書類であるにもかかわらず、出版社が都の調査購入を回避するために、調査購入される図書類の共通点や特徴を避けたものを出版することにより、都の適切な調査購入が妨げられ、不健全図書類の指定に関する業務が、適正かつ効果的に遂行できなくなるおそれがある。

「平成22年1月から12月に不健全指定された図書を購入したときの領収書」の
一部開示決定に対する異議申立て
※別紙 答申(第546号)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2011/11/40lb2700.htm

上の参考文献は、都が調査購入した図書の題名などに対して公開要求された際、
その返答としてそれを拒否した際の説明文です。
業務の遂行に支障をきたすため、題名などは明かせないと説明しています。
この文面の中に購入する際の判断方法が載っており、
それは題名、表紙、帯の文言などであると記されています。
ランダムに選んでいるわけではないようです。

また、これらは非公開であり、
その理由は、図書などから、都が購入する基準としている文言を推測される恐れが、
そして、図書の題名などを変えられる恐れがあるからというものです。

しかし、これは正当な調査購入の証明を破棄するものであり、不正の自浄能力を疑うものです。
本当に調査のために資金が使われているのでしょうか?
月100冊以上の図書をどこに保管し、それらが調査のための図書だと証明できるのでしょうか?
正当性を証明できない調査の、その阻害について意見が通るとは思えません。

〇■■委員 先ほ ど、答 申で指定にな りま した 「ベス トビデオ スーパー ドキュメン トVOL.131 」は、たまたま書店ですけども、この手の写真週刊誌、いわゆるエロ本みたいと言われるようなものは、コンビニにも置いてあるんですよね。だけどコンビニは、基本的に表示図書類は扱わないので、表示図書類ではないものを、コンビニで自主的に区分陳列をして販売してる、とい うスタンスなんですけど、コンビニに調査購入に入った時、区分陳列 してる棚のほうは、チェックするんですか、しないんですか。
〇青少年課長 基本的には、コンビニの区分陳列されている棚から、購入 して、諮問することはありません。
〇■■委員 コンビニの区分陳列は、あそこに区分されてる、とい う判断に立ってるとい うことですよね。
〇青少年課長 今のところ、業界の自主規制で、シールどめをしていることを尊重して、あえて区分陳列 している棚から買ってきて、ここに諮問するとい うことは、今のところありません。
〇■■委員 しないとい うことですね。やってないとい うことですね。
〇青少年課長 今のところは、そうい う考えでやっております。
〇■■委員 ありがとうございました。確認でした。


この参考文献は第625回の議事録からのものであり、
青少年課長の答弁によりシール止め誌(類似図書)が調査購入されていないことが言及されています。
しかし、「今のところ」と言っていることに注意しなくてはなりません。
この箇所以外にも、シール止め誌について言及されていますが、
「内容が過激になっている」という意見もあり、今後も調査されないとは言い切れないようです。
(ただし過激であると繰り返すのみで、何が、どの様に過激なのか提示されていません)

2の諮問図書の選定では、旧基準の場合、
青少年の性的感情を「著しく刺激する」「刺激する」「刺激しない」の3種類に分けているようです。

(ア)不健全図書類に指定されていない図書類名等を公開することにより、当該図書類が不健全図書類の指定の疑いがあると判断され、出版社に不利益を生じさせる(条例7条3号)
都が調査購入する図書類は、図書類の題名・表紙・帯の文言等から判断して、若しくは都民からの申出に基づいて、「青少年の性的感情を著しく刺激する」等の指定基準に該当する可能性があると推認したものである。その内容を精査した結果、都が調査購入した図書類には、不健全図書類として指定されることとなった図書類以外に、不健全図書類として指定される「著しい」までの水準ではないにしても「性的感情を刺激する」等により自主的な区分陳列販売等の努力義務が課せられる基準を満たす図書類や「性的感情を刺激しない」等の図書類が混在していることとなる。指定に至らなかった図書類も含めて、調査購入した図書類全てが公開されると、当該図書類が一律に不健全図書類指定相当又はそれに極めて近いものであるとの誤解を都民等に与え、当該図書類の出版社に対する都民等の社会的評価が不当に悪化する。また、当該図書類の出版社が、当該図書類の取扱い等について都民等から説明・釈明を求められるなど、当該出版社等にとって予想し得ない負担等を強いられることとなる。これらにより、当該出版社の競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわれる。よって、不健全図書類名以外の図書類名、雑誌コード、ISBNコード及び出版社名は、条例7条3号本文に該当する。

 「平成22年1月から12月に不健全指定された図書を購入したときの領収書」の
一部開示決定に対する異議申立て
※別紙 答申(第546号)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2011/11/40lb2700.htm

上の参考文献は先程と同じように、調査購入された図書を公開請求された際の都の説明です。
諮問図書となるのは、「著しく刺激する」と判断された図書のみで、それ以外は除外されています。
しかし、これは新基準が適用される前のものなので、
現在はおそらく「性的感情を刺激する」図書の中から、
新基準に当てはまるものが選ばれていると予想されます。

また、前回のブログでも指摘したように、
諮問図書を新基準で審査するのか、旧基準で審査するのかの決定も都が行っています。
そして、除外された図書は公開されないので、
私たちがこの判断が妥当であるかを判断することができないという問題があります。

まとめます。
・都が諮問図書を購入する基準は「題名」「表紙」「帯」の文言等である。
・何を購入したかは、調査の妨げになるため公開されない。
・何を購入したかは、一律不健全図書と都民から疑われかねないため公開しない。
・購入された図書は「著しく刺激する」「刺激する」「刺激しない」の3種類に分けられる。
・都が「著しく刺激する」と判断した図書を諮問図書としている。
・「刺激する」と判断した図書は、表示図書とするべきと考えており、
 そのうち新基準に当てはまるものを諮問図書としている。

■2つの「著しく性的感情を刺激する」基準
旧基準の有害図書の指定方法は各都道府県で異なっており、「包括指定」と「個別指定」とに分かれます。
包括指定とは、図書に含まれる性描写が、一定の割合よりも多いと判断された図書、
すべてを有害図書と定める方法で、
個別指定は、購入された図書それぞれに個別で判断する方法です。

東京都以外の大部分の道府県は、個別指定制度のほか、包括指定制度 (「全裸・半裸での卑わいな姿態」または「性交もしくは性交類似行為」の描写の分量により幅広く規制する制度(ページ数や一冊に占める割合を基準として子供への販売制限を決める制度)を併用しています。
この包括指定制度は、大部分の道府県で 「全裸・半裸での卑わいな姿態」または 「性交もしくは性交類似行為」の描写の分量によって指定を行うものです。そして、「性交又は性交類似行為」については、性的刺激の程度とは関係ないことが多く、描かれている性行為の主体が青少年か否かを問いません。このため、他の道府県では、現在でも、青少年の性行為が一定の分量以上描かれた漫画などは指定の対象となり得ます。
一方、東京都は、個別指定制度のみを採用することで、特に慎重な手続きをとってきました。個別指定制度とは、販売されている本の中から、個別に本の内容を確認し、その性的刺激の程度を踏まえて、青少年健全育成審議会という第三者機関に諮った上で、いわゆる「18禁図書」として指定し、指定後は、子供への販売などを制限する制度です。

※別添 東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案 質問回答集
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2010/04/20k4q500.htm

※この質問回答集は、「非実在青少年」等といった文言が書かれていた頃の古い条例案についてのもので、
青少年の性行為を規制する旨の文言があります。
それらは現在の条例に記載されているものではありません。

東京都の有害図書の指定方法は個別指定であり、描かれた分量で判断するものではありません。
つまり、どんなに描写量が少なくても指定することもあり、逆に多くても指定することがない。
その判断は条文にある基準(第8条にある旧基準、新基準)によるものです。

条文にある旧基準を詳しく見て見ます。

(不健全な図書類等の指定)
第8条 知事は、次に掲げるものを青少年の健全な育成を阻害するものとして指定することができる。
一 販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、青少年に対し、著しく性的感情を刺激し、甚だしく残虐性を助長し、又は著しく自殺若しくは犯罪を誘発するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの

1 東京都青少年の健全な育成に関する条例(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html

「著しく性的感情を刺激」するという基準はここに記載されています。これをどう捉えればよいでしょうか。
条例にある、東京都規則を見てみます。

第15条 条例第8条第1項第1号の東京都規則で定める基準は、次の各号に掲げる種別に応じ、当該各号に定めるものとする。
一 著しく性的感情を刺激するもの 次のいずれかに該当するものであること。
イ 全裸若しくは半裸又はこれらに近い状態の姿態を描写することにより、卑わいな感じを与え、又は人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること。
ロ 性的行為を露骨に描写し、又は表現することにより、卑わいな感じを与え、又は人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること。
ハ 電磁的記録媒体に記録されたプログラムを電子計算機等を用いて実行することにより、人に卑わいな行為を擬似的に体験させるものであること。
ニ イからハまでに掲げるもののほか、その描写又は表現がこれらの基準に該当するものと同程度に卑わいな感じを与え、又は人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること。

2 東京都青少年の健全な育成に関する条例施行規則(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html

「著しく性的感情を刺激」する、もっとも厳しい基準と思われるイを見てみると、
「全裸、半裸」を描写し、なおかつそれが「卑わい」又は「人格を否定する性行為」と思われるもの、となっています。
「又は」は、どちらか一方という意味ですから、
さらに厳しく捕らえると「半裸描写が卑わいと感じられ」たら指定されると読み取れます。
卑わいであるかの判断は個人により違い、その判断は審議会が行いますから、
明確な描かれた絵の根拠となるのは「半裸」の描写ということになります。
表現規制問題が話題になると、エロマンガ(性行為を多く描写したマンガ)は、指定して当然である、
成年マークをつけ、表示図書とすべきであるという意見が良く見られますが、
それらはロに対処した場合を言い、厳密に条例に従うとすると、イに該当する、
半裸以上の作品は全て成年マークをつけなければならないことになります。

一方、この基準について、都はなぜかより「緩い」基準を設け、「著しく性的感情を刺激」とは具体的に、
「性器の明確さ」、「体液の多さ」、「擬音の多さ」と定義しているようです。

「著しく性的感情を刺激する」かどうかは、単に全裸や性交シーンがある程度では該当せず、その判断は、性交シーンにおける性器の描写の明確さ、擬音(性交に伴って生じる音)や体液の描写の多さなどによることとされます。
上記のような、現在の指定基準の解釈は、昭和39年以来の条例の運用の中で、出版業界との間で共通了解の形成に努めてきたものであり、「子供との悪質な性交場面の描写がある」だけでは該当しません。

※別添 東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案 質問回答集
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2010/04/20k4q500.htm

しかし、この基準は飽くまで都が定めた基準であって、審議会がその基準に従うものではありません。
実際に、審議会に出される資料には、該当指定基準として、施行規則のものを使用しており、
都はダブルスタンダードの立場をとっていることが分かります。
(また、この都が定めた「著しく性的感情を刺激」する基準は、新基準を設けるための根拠となったものでもあります)
また、この文面には、出版社との了解の基とありますが、
これでは利害関係のある相手との調整と受け取れます。
この基準は青少年の健全な育成を目的としたものでなければならず、
共通了解を形成するのは本来ならば、審議会の委員の間で行われるもののはずです。
この記述ではその信憑性が疑われると思われますが、都が定めた基準として、まず受け入れて次に進みます。

まとめます。
・「著しく刺激する」「刺激する」「刺激しない」のうち、「著しく性的感情を刺激する」とは、
 東京都規則の中から最も厳いものを見ると「半裸描写が卑わいと感じられ」るものである。
・一方、都は「性器の明確さ」、「体液の多さ」、「擬音の多さ」という基準を設け、判断している。
 また、その基準は新基準を設けるための根拠としていた。

■指定図書の例・快感トリップ凛
上記のように、都はかなり厳密に、自分たちがどのように諮問図書を選定するかを決めています。
ではその通りの選定を行っているのか、ある指定図書を例にとりながら見て行きたいと思います。

ここで取り上げる作品は、「快感トリップ凛」という作品で、
2012年3月17日に発売され、4月9日に審議会において旧基準で審議され、指定図書となりました。

タイトル: 快感トリップ凛(1)
作者  :秋口幸迅(作画)、 みやすのんき(原作)
出版社 :日本文芸社

http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2012/04/40m4a100.htm

都が旧基準で諮問図書と判断するのは、「性器の明確さ」、「体液の多さ」、「擬音の多さ」でした。

「性器の明確さ」
審議会で諮問される作品は、多くが性行為を主題としたものが取り上げられます。
ですので男女の性器が場面内に登場するのですが、
それらは修正液で塗られて消されたような加工がされています。
原稿の段階では描かれているのですが、出版社側で修正を行うということが慣例的に行われているようです。
したがって、審議会で扱われる作品はこの点はほとんどがクリアされています。
一方、この「快感トリップ凛」は、原稿の段階からその点が考慮されており、
修正されているのではなく、「最初から描かれていない」という方針が採られています。

「体液の多さ」
体液は性行為時に分泌される、膣分泌液、精液などと思われます。
諮問図書の多くは、性器と違い、きちんと描写されている作品がほとんどですが、
近年はその描写量が減少傾向にあるようです。
「快感トリップ凛」は、こちらも徹底して描かれていません。
体液として描写されるのは、唾液のみです。

「擬音の多さ」
この表現は前記2つと違い、しっかり描かれており、作品よってさまざまです。
ページ内における絵の大きさが、大きいほど大きく、多く描写される傾向があるようです。
「快感トリップ凛」は、前の2つを補う形で表現されています。
しかし、その量は他の指定図書と比べても少ない描写です。

以上から「快感トリップ凛」は、都の「著しく性的感情を刺激するという基準」では、
唯一描写のある「擬音の多さ」が諮問図書とした理由と予想されます。
しかし、「擬音」というのは文字情報であり、
審議会では小説などの文学作品は審査せずとしています。
この基準が妥当であるのか疑問を感じるとともに、
「快感トリップ凛」の諮問に恣意性を感じます。

また、審議会に出された資料には、「快感トリップ凛」の指定基準は、
施行規則第15条 第1項第一号 イ・ロ とあり、
「全裸半裸」そして「性的行為を露骨に描写」によって、
「卑わい」又は「人格を否定する性行為」と感ぜられる、
とされています。

一方で、この作品には少女への強姦シーンが多く描かれ、
それにより死に至るような、残酷な場面もあり、
新基準に触れる可能性がある点を言及しておきます。

次回に続きます。
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by k1kuraki | 2014-05-20 21:22 | 都条例

都条例、審議会、事務局についての考察まとめ 1/2 (画像あり)

※注意:説明のため、指定図書内の画像を一部撮影し、載せてあります。
     閲覧を望まない方はこちらへ移動してください。

都条例、審議会、事務局についての考察まとめ 1/2 (画像なし)


東京都青少年健全育成審議会では、毎月数冊の有害図書を指定(指定図書という)し、
その扱いに規制を加えています。
しかし、その指定は第三者機関である審議会に権限が与えられています。
審議会に行政機関が事務という形で携わり、その権限に抵触する以上、
その事務の情報公開は最大限に行われなければならず、
行政、審議会共に条例に誠実でなければなりません。
では実際にそうなっているのか、条例や施行規則、
都が公開している情報などと照らし合わせながら考察して行きたいと思います。

■事務手続き
審議会の事務は、東京都青少年・治安対策本部の青少年課で行われています。
審議会の議事録では、事務局と呼ばれています。
8 事務
審議会の庶務は、青少年 治安対策本部総合対策部青少年課において行う。


そして審議会で審議されるまでの事務手続きは、以下のような流れで行われます。

1:書店、コンビニなどで調査対象となる図書の購入(月に100冊以上)
2:基準に基づいた諮問図書の選定(月に2冊程度)

購入する図書の対象は、一般で発売されているものに限り、
その判断は図書類の題名、表紙、帯の文言等からされ、
表示図書やシール止めされた雑誌(類似図書)は、今のところ含まれていないようです。

(イ)不健全図書類名以外の図書類名等を公開することにより、不健全図書類の指定に関する業務の効果的な遂行を不当に阻害するおそれがある(条例7条6号)
都が調査購入する図書類は、図書類の題名・表紙・帯の文言等から判断して、若しくは都民からの申出に基づいて、「青少年の性的感情を著しく刺激する」等の指定基準に該当する可能性があると推認したものである。それらの図書類のすべてが公開されると、指定基準に該当する可能性があるとして購入してきた図書類の題名・表紙・帯の文言等の共通点や特徴が、出版社に明らかとなる。その結果、内容が不健全指定に該当しうる図書類であるにもかかわらず、出版社が都の調査購入を回避するために、調査購入される図書類の共通点や特徴を避けたものを出版することにより、都の適切な調査購入が妨げられ、不健全図書類の指定に関する業務が、適正かつ効果的に遂行できなくなるおそれがある。

「平成22年1月から12月に不健全指定された図書を購入したときの領収書」の
一部開示決定に対する異議申立て
※別紙 答申(第546号)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2011/11/40lb2700.htm

上の参考文献は、都が調査購入した図書の題名などに対して公開要求された際、
その返答としてそれを拒否した際の説明文です。
業務の遂行に支障をきたすため、題名などは明かせないと説明しています。
この文面の中に購入する際の判断方法が載っており、
それは題名、表紙、帯の文言などであると記されています。
ランダムに選んでいるわけではないようです。

また、これらは非公開であり、
その理由は、図書などから、都が購入する基準としている文言を推測される恐れが、
そして、図書の題名などを変えられる恐れがあるからというものです。

しかし、これは正当な調査購入の証明を破棄するものであり、不正の自浄能力を疑うものです。
本当に調査のために資金が使われているのでしょうか?
月100冊以上の図書をどこに保管し、それらが調査のための図書だと証明できるのでしょうか?
正当性を証明できない調査の、その阻害について意見が通るとは思えません。

〇■■委員 先ほ ど、答 申で指定にな りま した 「ベス トビデオ スーパー ドキュメン トVOL.131 」は、たまたま書店ですけども、この手の写真週刊誌、いわゆるエロ本みたいと言われるようなものは、コンビニにも置いてあるんですよね。だけどコンビニは、基本的に表示図書類は扱わないので、表示図書類ではないものを、コンビニで自主的に区分陳列をして販売してる、とい うスタンスなんですけど、コンビニに調査購入に入った時、区分陳列 してる棚のほうは、チェックするんですか、しないんですか。
〇青少年課長 基本的には、コンビニの区分陳列されている棚から、購入 して、諮問することはありません。
〇■■委員 コンビニの区分陳列は、あそこに区分されてる、とい う判断に立ってるとい うことですよね。
〇青少年課長 今のところ、業界の自主規制で、シールどめをしていることを尊重して、あえて区分陳列 している棚から買ってきて、ここに諮問するとい うことは、今のところありません。
〇■■委員 しないとい うことですね。やってないとい うことですね。
〇青少年課長 今のところは、そうい う考えでやっております。
〇■■委員 ありがとうございました。確認でした。


この参考文献は第625回の議事録からのものであり、
青少年課長の答弁によりシール止め誌(類似図書)が調査購入されていないことが言及されています。
しかし、「今のところ」と言っていることに注意しなくてはなりません。
この箇所以外にも、シール止め誌について言及されていますが、
「内容が過激になっている」という意見もあり、今後も調査されないとは言い切れないようです。
(ただし過激であると繰り返すのみで、何が、どの様に過激なのか提示されていません)

2の諮問図書の選定では、旧基準の場合、
青少年の性的感情を「著しく刺激する」「刺激する」「刺激しない」の3種類に分けているようです。

(ア)不健全図書類に指定されていない図書類名等を公開することにより、当該図書類が不健全図書類の指定の疑いがあると判断され、出版社に不利益を生じさせる(条例7条3号)
都が調査購入する図書類は、図書類の題名・表紙・帯の文言等から判断して、若しくは都民からの申出に基づいて、「青少年の性的感情を著しく刺激する」等の指定基準に該当する可能性があると推認したものである。その内容を精査した結果、都が調査購入した図書類には、不健全図書類として指定されることとなった図書類以外に、不健全図書類として指定される「著しい」までの水準ではないにしても「性的感情を刺激する」等により自主的な区分陳列販売等の努力義務が課せられる基準を満たす図書類や「性的感情を刺激しない」等の図書類が混在していることとなる。指定に至らなかった図書類も含めて、調査購入した図書類全てが公開されると、当該図書類が一律に不健全図書類指定相当又はそれに極めて近いものであるとの誤解を都民等に与え、当該図書類の出版社に対する都民等の社会的評価が不当に悪化する。また、当該図書類の出版社が、当該図書類の取扱い等について都民等から説明・釈明を求められるなど、当該出版社等にとって予想し得ない負担等を強いられることとなる。これらにより、当該出版社の競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわれる。よって、不健全図書類名以外の図書類名、雑誌コード、ISBNコード及び出版社名は、条例7条3号本文に該当する。

 「平成22年1月から12月に不健全指定された図書を購入したときの領収書」の
一部開示決定に対する異議申立て
※別紙 答申(第546号)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2011/11/40lb2700.htm

上の参考文献は先程と同じように、調査購入された図書を公開請求された際の都の説明です。
諮問図書となるのは、「著しく刺激する」と判断された図書のみで、それ以外は除外されています。
しかし、これは新基準が適用される前のものなので、
現在はおそらく「性的感情を刺激する」図書の中から、
新基準に当てはまるものが選ばれていると予想されます。

また、前回のブログでも指摘したように、
諮問図書を新基準で審査するのか、旧基準で審査するのかの決定も都が行っています。
そして、除外された図書は公開されないので、
私たちがこの判断が妥当であるかを判断することができないという問題があります。

まとめます。
・都が諮問図書を購入する基準は「題名」「表紙」「帯」の文言等である。
・何を購入したかは、調査の妨げになるため公開されない。
・何を購入したかは、一律不健全図書と都民から疑われかねないため公開しない。
・購入された図書は「著しく刺激する」「刺激する」「刺激しない」の3種類に分けられる。
・都が「著しく刺激する」と判断した図書を諮問図書としている。
・「刺激する」と判断した図書は、表示図書とするべきと考えており、
 そのうち新基準に当てはまるものを諮問図書としている。

■2つの「著しく性的感情を刺激する」基準
旧基準の有害図書の指定方法は各都道府県で異なっており、「包括指定」と「個別指定」とに分かれます。
包括指定とは、図書に含まれる性描写が、一定の割合よりも多いと判断された図書、
すべてを有害図書と定める方法で、
個別指定は、購入された図書それぞれに個別で判断する方法です。

東京都以外の大部分の道府県は、個別指定制度のほか、包括指定制度 (「全裸・半裸での卑わいな姿態」または「性交もしくは性交類似行為」の描写の分量により幅広く規制する制度(ページ数や一冊に占める割合を基準として子供への販売制限を決める制度)を併用しています。
この包括指定制度は、大部分の道府県で 「全裸・半裸での卑わいな姿態」または 「性交もしくは性交類似行為」の描写の分量によって指定を行うものです。そして、「性交又は性交類似行為」については、性的刺激の程度とは関係ないことが多く、描かれている性行為の主体が青少年か否かを問いません。このため、他の道府県では、現在でも、青少年の性行為が一定の分量以上描かれた漫画などは指定の対象となり得ます。
一方、東京都は、個別指定制度のみを採用することで、特に慎重な手続きをとってきました。個別指定制度とは、販売されている本の中から、個別に本の内容を確認し、その性的刺激の程度を踏まえて、青少年健全育成審議会という第三者機関に諮った上で、いわゆる「18禁図書」として指定し、指定後は、子供への販売などを制限する制度です。

※別添 東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案 質問回答集
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2010/04/20k4q500.htm

※この質問回答集は、「非実在青少年」等といった文言が書かれていた頃の古い条例案についてのもので、
青少年の性行為を規制する旨の文言があります。
それらは現在の条例に記載されているものではありません。

東京都の有害図書の指定方法は個別指定であり、描かれた分量で判断するものではありません。
つまり、どんなに描写量が少なくても指定することもあり、逆に多くても指定することがない。
その判断は条文にある基準(第8条にある旧基準、新基準)によるものです。

条文にある旧基準を詳しく見て見ます。

(不健全な図書類等の指定)
第8条 知事は、次に掲げるものを青少年の健全な育成を阻害するものとして指定することができる。
一 販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、青少年に対し、著しく性的感情を刺激し、甚だしく残虐性を助長し、又は著しく自殺若しくは犯罪を誘発するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの

1 東京都青少年の健全な育成に関する条例(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html

「著しく性的感情を刺激」するという基準はここに記載されています。これをどう捉えればよいでしょうか。
条例にある、東京都規則を見てみます。

第15条 条例第8条第1項第1号の東京都規則で定める基準は、次の各号に掲げる種別に応じ、当該各号に定めるものとする。
一 著しく性的感情を刺激するもの 次のいずれかに該当するものであること。
イ 全裸若しくは半裸又はこれらに近い状態の姿態を描写することにより、卑わいな感じを与え、又は人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること。
ロ 性的行為を露骨に描写し、又は表現することにより、卑わいな感じを与え、又は人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること。
ハ 電磁的記録媒体に記録されたプログラムを電子計算機等を用いて実行することにより、人に卑わいな行為を擬似的に体験させるものであること。
ニ イからハまでに掲げるもののほか、その描写又は表現がこれらの基準に該当するものと同程度に卑わいな感じを与え、又は人格を否定する性的行為を容易に連想させるものであること。

2 東京都青少年の健全な育成に関する条例施行規則(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html

「著しく性的感情を刺激」する、もっとも厳しい基準と思われるイを見てみると、
「全裸、半裸」を描写し、なおかつそれが「卑わい」又は「人格を否定する性行為」と思われるもの、となっています。
「又は」は、どちらか一方という意味ですから、
さらに厳しく捕らえると「半裸描写が卑わいと感じられ」たら指定されると読み取れます。
卑わいであるかの判断は個人により違い、その判断は審議会が行いますから、
明確な描かれた絵の根拠となるのは「半裸」の描写ということになります。
表現規制問題が話題になると、エロマンガ(性行為を多く描写したマンガ)は、指定して当然である、
成年マークをつけ、表示図書とすべきであるという意見が良く見られますが、
それらはロに対処した場合を言い、厳密に条例に従うとすると、イに該当する、
半裸以上の作品は全て成年マークをつけなければならないことになります。

一方、この基準について、都はなぜかより「緩い」基準を設け、「著しく性的感情を刺激」とは具体的に、
「性器の明確さ」、「体液の多さ」、「擬音の多さ」と定義しているようです。

「著しく性的感情を刺激する」かどうかは、単に全裸や性交シーンがある程度では該当せず、その判断は、性交シーンにおける性器の描写の明確さ、擬音(性交に伴って生じる音)や体液の描写の多さなどによることとされます。
上記のような、現在の指定基準の解釈は、昭和39年以来の条例の運用の中で、出版業界との間で共通了解の形成に努めてきたものであり、「子供との悪質な性交場面の描写がある」だけでは該当しません。

※別添 東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案 質問回答集
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2010/04/20k4q500.htm

しかし、この基準は飽くまで都が定めた基準であって、審議会がその基準に従うものではありません。
実際に、審議会に出される資料には、該当指定基準として、施行規則のものを使用しており、
都はダブルスタンダードの立場をとっていることが分かります。
(また、この都が定めた「著しく性的感情を刺激」する基準は、新基準を設けるための根拠となったものでもあります)
また、この文面には、出版社との了解の基とありますが、
これでは利害関係のある相手との調整と受け取れます。
この基準は青少年の健全な育成を目的としたものでなければならず、
共通了解を形成するのは本来ならば、審議会の委員の間で行われるもののはずです。
この記述ではその信憑性が疑われると思われますが、都が定めた基準として、まず受け入れて次に進みます。

まとめます。
・「著しく刺激する」「刺激する」「刺激しない」のうち、「著しく性的感情を刺激する」とは、
 東京都規則の中から最も厳いものを見ると「半裸描写が卑わいと感じられ」るものである。
・一方、都は「性器の明確さ」、「体液の多さ」、「擬音の多さ」という基準を設け、判断している。
 また、その基準は新基準を設けるための根拠としていた。

■指定図書の例・快感トリップ凛
上記のように、都はかなり厳密に、自分たちがどのように諮問図書を選定するかを決めています。
ではその通りの選定を行っているのか、ある指定図書を例にとりながら見て行きたいと思います。

ここで取り上げる作品は、「快感トリップ凛」という作品で、
2012年3月17日に発売され、4月9日に審議会において旧基準で審議され、指定図書となりました。

タイトル: 快感トリップ凛(1)
作者  :秋口幸迅(作画)、 みやすのんき(原作)
出版社 :日本文芸社

http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2012/04/40m4a100.htm

都が旧基準で諮問図書と判断するのは、「性器の明確さ」、「体液の多さ」、「擬音の多さ」でした。
画像を用意しましたのでひとつずつ確認してみます。
※指定図書作品なので、慎重を期して性行為描写の部分は選ばず、
 できるだけ差しさわりのない箇所を選んでいます。
 実際はほぼ全ての話に性行為が描かれています。

「性器の明確さ」
審議会で諮問される作品は、多くが性行為を主題としたものが取り上げられます。
ですので男女の性器が場面内に登場するのですが、
それらは修正液で塗られて消されたような加工がされています。
原稿の段階では描かれているのですが、出版社側で修正を行うということが慣例的に行われているようです。
したがって、審議会で扱われる作品はこの点はほとんどがクリアされています。
一方、この「快感トリップ凛」は、原稿の段階からその点が考慮されており、
修正されているのではなく、「最初から描かれていない」という方針が採られています。
c0252112_20593222.pngc0252112_20594418.png

画像左:白い空間を作り、性器の存在を表す場面
画像右:性器を透明にし、影と凹んだ肌から存在を表す場面

「体液の多さ」
体液は性行為時に分泌される、膣分泌液、精液などと思われます。
諮問図書の多くは、性器と違い、きちんと描写されている作品がほとんどですが、
近年はその描写量が減少傾向にあるようです。
「快感トリップ凛」は、こちらも徹底して描かれていません。
体液として描写されるのは、唾液のみです。
c0252112_216476.png

画像:女性の顔に体液をかける場面 擬音のみで体液が描かれていない
    顔や髪に体液が当たる際の記号が描かれている

「擬音の多さ」
この表現は前記2つと違い、しっかり描かれており、作品よってさまざまです。
ページ内における絵の大きさが、大きいほど大きく、多く描写される傾向があるようです。
「快感トリップ凛」は、前の2つを補う形で表現されています。
しかし、その量は他の指定図書と比べても少ない描写です。
c0252112_21121041.png

画像:性行為に伴う擬音

以上から「快感トリップ凛」は、都の「著しく性的感情を刺激するという基準」では、
唯一描写のある「擬音の多さ」が諮問図書とした理由と予想されます。
しかし、「擬音」というのは文字情報であり、
審議会では小説などの文学作品は審査せずとしています。
この基準が妥当であるのか疑問を感じるとともに、
「快感トリップ凛」の諮問に恣意性を感じます。

また、審議会に出された資料には、「快感トリップ凛」の指定基準は、
施行規則第15条 第1項第一号 イ・ロ とあり、
「全裸半裸」そして「性的行為を露骨に描写」によって、
「卑わい」又は「人格を否定する性行為」と感ぜられる、
とされています。

一方で、この作品には少女への強姦シーンが多く描かれ、
それにより死に至るような、残酷な場面もあり、
新基準に触れる可能性がある点を言及しておきます。

次回に続きます。
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by k1kuraki | 2014-05-20 19:08 | 都条例

第646回 東京都青少年健全育成審議会 メモ

第 646 回
東京都青少年健全育成審議会
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_646_menu.html#646

■審議時間の短さ
午後3時26分開会
午後3時56分閉会


正味30分の審議である。
審議されたのは漫画作品2冊で、18人の委員が回し読みしたとし、
30分の審議全てを読書にあてたとしたら一人当たり、一冊50秒、
半分の15分を読書にあてたとしたら、一人当たり、一冊25秒しかない。

図書を精読し、指定基準に照らして審査し、委員同士で意見を言い合い審議するためには、
この時間内では到底行えない。


■審議会委員の交代
最初に、委員の交代についてご報告いたします。第4号 「関係行政機関の職員」の倉部誠委員の後任として、東京法務局人権擁護部長の瀧村剛委員でございます。
○瀧村委員 瀧村でございます。よろしくお願いします。
○青少年対策担当部長 続きまして、坪内栄一委員の後任として、豊島区子ども家庭部子ども課長の大須賀裕子委員でございます。
○大須賀委員 豊島区子ども課長の大須賀でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○青少年対策担当部長 続いて、第5号 「東京都の職員」の稲葉薫委員の後任として、福祉保健局児童相談センター次長の矢澤知子委員に御就任いただいておりますが、本日は御都合により欠席でございますので、次回以降、改めて御紹介いたします。

(組織)
第20条
審議会は、次の各号に掲げる者につき、知事が任命または委嘱する委員20人以内をもつて組織する。
一 業界に関係を有する者 3人以内
二 青少年の保護者 3人以内
三 学識経験を有する者 8人以内
四 関係行政機関の職員 3人以内
五 東京都の職員 3人以内

1 東京都青少年の健全な育成に関する条例(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html


議事録を読んでいると、指定図書の決定時にその理由を述べない委員が殆どであり、
前回の審議会のように、中には審査の基準を否定した委員まで存在する。
選任はどの様な経緯で行われたのか?審議会の趣旨を確りと説明しているのか?
欠席する委員が多いが、時間の確保ができることを選任の基準にしているのか?

さらに1枚おめくりいただきまして、2ページの 「諮問図書類及び指定基準該当箇所一覧」をご覧ください。こちらに記載されました図書類は平成26年2月28 日から3月31 日までの間に、都内のコンビニ ・書店等から購入いたしました140誌のうちから、8ページ、9ページに記載してございます条例施行規則第15条の指定基準に基づきまして、指定図書類の候補として選定したものでございます。
該当箇所は、1番、2番ともに 「全編大部分」でございます。
該当指定基準は、いずれも条例施行規則第 15条第1項第1号イ・ロ、購入場所はいずれも書店でございます。


まず、職員が購入した基準は何なのか?表紙、タイトルで決めているのか?出版社によって差を設けているのか?
そして、指定箇所「全編大部分」、指定基準「条例施行規則第 15条第1項第1号イ・ロ」
に該当すると判断した理由は何なのか?それは職員の感性によるものか?複数人で話し合って決められるのか?


■自主規制団体の票数
今回の諮問図書類につきましては、本審議会の諮問に先立ちまして、4月9日に自主規制団体から意見を聴取して、その結果を3ページ及び4ページに取りまとめてございます。
まず、3ページをご覧ください。1番 『ポプリコミックス どっくん !おねだり姫のフェチあそび❤』は、 「指定やむなし」の意見が 12 名で、その主な内容は 「表紙が青少年に手に取りやすい。性器の箇所を白抜きで修整しているが、それが卑わい感を煽る。擬音も激しく成人マークをつけたほうが良い。指定該当」などでございます。
「指定非該当」は3名で、その主な内容は 「性交場面は多いが、局部は白抜き等で修整されている。体液等の描写は気になるが、この程度であれば許容範囲。指定非該当」などでございます。
続いて4ページをご覧 ください。 2番 『ムーグコミックス ピーチシリーズ 感 じる❤JKエッチな秘メゴト』は、 「指定やむなし」の意見が13名で、その主な内容は 「女子高校生へのレイプシーンもあり、絵柄がコミカルとはいえ青年向きとすべき。指定該当」などでございます。
「保留」の方は1名いらっしゃいました。
「指定非該当」は1名で、その意見は 「絵は幼稚で、リアルではなく卑わいでもない。消しもしっかり入っている。指定非該当」でございます。
10ページには、参考として、出版社ごとの過去1年間の指定回数一覧を掲載してございます。
不健全図書類指定の諮問については、以上でございます。

(審議会への諮問)
第18条の2
2 知事は、前項の規定により、東京都青少年健全育成審議会の意見を聴くときは、第7条から第7条の3までに規定する自主規制を行つている団体があるときは、必要に応じ、当該団体の意見を聴かなければならない。


1 東京都青少年の健全な育成に関する条例(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html

< 自主規制団体メンバー :平成26年4月1日現在>
◇ (一社)日本書籍出版協会2名 ◇首都圏新聞即売懇談会1名
◇(一社)日本雑誌協会6名 ◇東京都古書籍商業協同組合1名
◇ (一社)日本出版取次協会3名 ◇東京都書店商業組合3名
◇(一社)日本フランチャイズチェーン協会1名 ◇出版倫理懇話会1名
計18名


自主規制団体の聴取された意見を、なぜ「指定やむなし」「保留」「指定非該当」と分類し、
その票数を明記するのか?
この自主規制団体の意見は飽くまで審議会内で「議論」を行うための参考意見であり、
「指定するかしないか」を決めるための免罪符ではない。
自主規制団体のメンバーの人数はバラバラであり、その意見の数には何の正当性も無い。


■審議
○会長 では、各委員から順次御意見をお願いいたします。
■■委員からお願いいたします。
○■■委員 2誌とも指定です。
○■■委員 2誌とも指定でお願いします。
○■■委員 私も2誌とも指定でお願いします。
○■■委員 私も2誌とも指定でお願いいたします。
○■■委員 2誌とも指定でいいと思います。
○鵜飼委員 2誌指定でお願いします。
○横山委員 2誌指定でお願いします。
○■■委員 2誌とも指定でお願いします。
○■■委員 2誌指定でお願いします。
○■■委員 2誌とも指定でいいと思います。
○■■委員 2誌指定でいいと思います。
○■■委員 2誌指定でよいと思います。
○■■委員 2誌指定でお願いします。
○瀧村委員 2誌とも指定でよろしいと思います。
○大須賀委員 2誌とも指定でお願いいたします。
○山下委員 2誌とも指定でお願いします。
○会長代理 いずれも指定で結構です。
○会長 それでは、全委員が2誌指定ということの御意見でございますので、2誌指定ということで答申してよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○会長 それでは、2誌指定ということで答申をさせていただきます。

(定足数及び表決数)
第24条
2 審議会の議事は、出席した委員(会長である委員(第22条第3項の規定により会長の職務を代理す
る委員を含む。)を除く。)の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。


「東京都青少年の健全な育成に関する条例」より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html

17人中17人の指定該当の決により、『ポプリコミックス どっくん !おねだり姫のフェチあそび❤』『ムーグコミックス ピーチシリーズ 感 じる❤JKエッチな秘メゴト』の2誌が指定。
20名の委員から会長を除く19名の委員の多数決で決められるため、
出席者は18名、欠席者は2名であることが分かる。

いずれの委員からも「卑猥な感じを与える理由」、「人格を否定すると感じられる理由」は述べられていない。
その理由が述べられないのならば、出版社は図書の指定を免れる術を得ない。
したがって、経済的自由を脅かすものである。

また、東京都青少年健全育成審議会は「個別指定」を行っている。
一定ページ数以上の性表現が描かれていれば、全ての図書が有害図書となってしまう「包括指定」と違い、
「個別指定」は内容を吟味し、委員会での審議によって指定するものである。
意見を述べないのであれば、「包括指定」よりも不透明な指定となる。

各専門家である委員は、各々の学術的根拠に則った指定理由を必ず併記すべきである。
自主規制団体の意見聴取ではなされているのに、審議会ではできない理由は何なのか?


■議事の進行
(「なし」の声あり)
(「異議なし」の声あり)


議事の進行でこのような記述があるが、誰か一人の委員の声で審議が打ち切られている様に疑われる。
本来ならば

(「あり」の声なし)
(「異議あり」の声なし)

という記述で無ければならない。
議会内で、委員の意見がしっかりと取られていない様に疑われる。


■環境浄化活動
続いて、15ページをご覧ください。こちらは都が委嘱しております東京都青少年健全育成協力員の環境浄化活動の3月分の状況でございます。
平成26年3月までに委嘱しております協力員は 1,016名、3月の活動者数は373名、調査店舗数は 1,540店舗でございます。
この表は、各店舗におきまして、指定図書類、表示図書類、小口シールどめ誌を初めとした大人向けと思われる図書類につきまして、包装及び区分陳列等の実施状況の調査結果でございます。

1番目の表、 書店等への立入調査では、 表示図書類の取り扱い不適切が新刊書店で2店舗、類似図書類の取り扱い配慮無しが新刊書店で1店舗、コンビニエンスストアで4店舗それぞれございましたので、その場での是正措置を含め、条例を遵守するよう指導いたしました。

表示図書は出版社の「自主規制」であるが、「条文に記載のある」自主規制である。
しかし、小口シール止め誌(類似図書)は「条文に記載のない」自主規制である。
条文に記載がないのにもかかわらず、条例を遵守するとはどういう意味か?

本来自主規制とは、条例に記載されたり、他社から言われるものではなく、
自分の倫理に照らして、利用者、非利用者の利便を向上させるためのものである。
青少年の環境の整備を目的としているが、
根拠のない理由で出版社、販売者の経済活動の自由を妨げることはあってはならない。
小口シール止め誌の調査を即刻やめるべきである。

協力員の活動者数は373名であるが、残りの643名にも謝礼が配られているのか?



最後に、次回審議会は5月 12 日月曜日でございますが、御出欠は4月22 日火曜日までにお願いいたします。



■委員の実名表記
○連絡調整担当課長 お手元にございます議事録についてなのですけれども、委員の皆様も御承知のとおり、毎月本審議会に先立ちまして、自主規制団体から諮問候補図書類についての意見を聴取する打ち合わせ会を行っております。
先日、4月9日に行われました打ち合わせ会におきまして、出席者から 「審議会議事録では関係行政機関の職員を除いて委員名を一律で 『■■』としておりますが、議論の流れをわかりやすくするためにも 『A委員』、 『B委員』などとして、同一委員の発言がわかるようにしてほしい。」との意見がございました。
お手元にサンプルがあると思います。想定 (例)と書いてありますが、このようにA、B、C、D委員とするということでございます。
つきましては、委員の皆様の御意見をお伺いしたいと思います。
なお、事務局といたしましては、仮に 「A委員」 「B委員」と表記することに賛同される委員の方が多かったとしても、月ごとに2つの条件、まず1つ目が、発言内容を組み合わせて判断することにより委員個人が特定できる可能性がある場合、もう一つが、こちらの審議会の議事録を皆様に事前に見ていただいたときに、お一人でも 「A委員」 「B委員」と標記することに反対の方がいらした場合は、従来どおり一律で 「■■」とさせていただきたいと考えております。
お手元の想定の記載のサンプルを見ていただいて、御参考にしていただきたいと思います。
会長、よろしくお願いします。
○会長 ありがとうございました。
ただいまのご説明で、審議会ごとにというご意見ですか。事務局の考え方は。
○連絡調整担当課長 はい。
○会長 わかりました。
それでは、皆様方からこの件についてご意見、ご質問等がございましたら、お伺いしたいと思います。
■■委員、どうぞ。
○■■委員 やはり先方がそれを言ってくるというのは、特定をしようとしているわけですね。それがゆえですね。
○連絡調整担当課長 なるべくそういうものに近づきたいと思っているのかもしれません。
○■■委員 それは一体何でかということです。多分、個人的攻撃も考えているわけだと推測されますね。だから、その可能性があるものは一切排除すべきだと私は思います。
○会長 ほかの委員はいかがでしょうか。
○■■委員 私も今の意見に賛成でございます。
○会長 ほかの方、いかがですか。
○■■委員 従来どおりの形式で結構だと思います。
○会長 ほかの皆様方、いかがでしょうか。
○■■委員 従来どおりでいいと思います。
○会長 大分前に全員公開したらどうかという議論をこの場でしたと思うのですけれども、反対の方が1名でもいらっしゃった場合には全員の賛意をもってしたほうがいいという判断に立ちまして、従来どおり行政委員の方を除いた形で伏字で公開しているというのが現状でございますので、そこら辺をお考えいただいてと私は思います。
いわゆる自主規制団体からの要望をいかがするかは、賛否を問うという形でよろしいでしょうか。このとおりでもいいという御意見の方はいらっしゃいますか。
○会長代理 事務局の諮問がもともとお一人でも反対の場合は従来どおりという諮問ですので、反対される方が複数おられますので、ここは従来どおりということになると思います。
○会長 わかりました。
それでは、自主規制団体からの要望は要望として、私どもも承知しておくということで、表記に関しましては従来どおり伏せるという形の取り扱いにしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○会長 では、従来どおりという形で公開をお願いいたしたいと思います。
○連絡調整担当課長 では、従来どおり 「■■」で表記するようにしたいと思います。

前回、実名記載の是非について議論されたのは第628回の審議会である。


14 ページに移 りまして、(2)ですが、「会議録の実名範囲の拡大について」でございます。本審議会の会議録につきましては、従来から都の職員 と関係行政機関の職員については、実名表記としまして、その他の委員については伏せ字にするとい うかたちで、本審議会として運用してまいりました。
このことにつきまして、前期の途中で、実名範囲の拡大の是非について議論がなされまして、各委員から様々な意見が出されたところでございます。最終的に会長からの提案を了承いただきまして、議事録については今までどおりとし、現状どおりでは不十分とい うような具体的な問題が生じた場合に、改めてこの審議会で議論するとい うことになっております。


(2)会議録の実名範囲の拡大について
以下の理由により、当面は現状どおり、関係行政機関の職員と都職員のみ実名を記載する。その上で、新基準の適用の実例を積み重ねていく中で、現状どおりでは不十分というような具体的な問題が生じた場合に、改めてこの審議会の場で議論する。
○ 委員の意見では、全員実名の公開がよいという意見がある一方、所属する団体の意見として、実名公開を望まない、といった様々な意見がある。
○ 実名公開範囲を拡大するためには、審議会が全員一致で受け入れられる案に基づく必要があるのではないか。
○ 本審議会は、一般の政策を論議するような審議会とは異なり「不利益処分の是非を判断する」という特質を有しており、実名を公開することで、委員が不利益処分に関して自由・率直に意見を述べる環境を確保できなくなる可能性があることも念頭に置く必要があるのではないか。
○ 他の道府県の同種審議会等の会議録を見ると、不利益処分に関しては、実質的に個別の発言についての発言者名の公開は行われていない。
○ 一部委員の実名の公開を拡大することは、実名を公開していない他の委員の特定を容易にする側面もある。


第628回の議事録で触れられている、前期の途中と言うのは、第613回の議事録である。
その中に「会議録の実名範囲の拡大について」の元となった審議がある。
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_610_menu.html#613


まず、東京都青少年の健全な育成に関する条例の目的は、青少年の健全な育成である。
(目的)
第1条 この条例は、青少年の環境の整備を助長するとともに、青少年の福祉を阻害するおそれのある行為を防止し、もつて青少年の健全な育成を図ることを目的とする。

「東京都青少年の健全な育成に関する条例」より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html

都下の元に行われている審議会は原則として全て公開されるべきである。
であるが、議事録内で実名がない委員を出すのは、
その条例の目的に則した審議会の活動のためのものでなければならない。

ここに記すのは、第613回の議事録内の実名公開を望まないとした団体の意見の抜粋である。
②審議会の公開について 条例改正の施行に伴い、審議会を公開するか否か等、数ヶ月にわたり意見交換をしてまいりましたが、私ども■■■■は審議会の公開及び会議録上の実名表記には反対です。「誰が言った」が重要なのではなく、不健全の指定に賛成した 「理由」が重要なのだと考えます。どのような理由で不健全の指定に至ったのかを明確にすることは、理解を得るためには必要です。各委員が明確な理由を述べた上で指定か非指定かの判断を下すことが重要なのであり、その結果が都民の理解を得ることにつながるのではないでしょうか。実名を出すことは会議の透明性を損ない、個人攻撃の危険も予測できますし、または売名行為とも受け取られかねないことを危倶しております。


運営資料には抜けているが、実名表記に反対するのは、
不健全指定に至った理由を明確にすることであるとしている。
(運営資料にこのことが記載されていないのことに悪意を感じる)
現状では、自主規制団体に行われているような、指定理由の併記が行われていない審議会では、
実名表記を行わない理由に足らない。

不利益処分の是非に関しても、これが利益処分であっても相対的に不利益者が出るのである。
そして原則として審議会が第三者機関である理由は、その利益、不利益から距離を置いているからである。
都側の委員が実名で表記されているのはそのためでもある。
匿名でなければ不利益処分に関して自由・率直に意見を述べられないのならば、
委員である資格をそもそも有しない。

そして審議会では、各々専門家が用いる学術的見識によって審議されるものである。
その見識を披露する段階で、ある程度の個人の特定は不可避である。
このことからも、実名を公開しない理由に足りえない。

以上から、実名を公開しないのならば、委員各々の指定理由の併記の原則化、
そして実名公表を望まない委員の早期の辞退を求める。
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by k1kuraki | 2014-05-17 12:44 | 都条例

妹ぱらだいす!2 と、都条例の新基準について

■図書の取り扱いについての注意

18歳未満の方へ

ここで取り上げている漫画作品「妹ぱらだいす!2 ~お兄ちゃんと5人の妹のも~っと!エッチしまくりな毎日~」は、
東京都青少年健全育成審議会によって「指定図書」となりました。
指定図書となった作品は、その扱いに著しい制限が加えられ、
都内の販売者は、販売、包装、陳列に違反した場合、重い罰則を受けることになります。
18歳未満の方は購入されないように、また、包装を破いたり、陳列されている場所から移動させないように気をつけてください。

(警告)
第18条 前条第1項の知事が指定した知事部局の職員は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、警告を発することができる。
一 第9条第1項の規定に違反して青少年に指定図書類を販売し、頒布し、又は貸し付けた者
二 第9条第2項の規定に違反して同項の規定による包装を行わなかつた者
三 第9条第3項の規定に違反して同項の規定による陳列を行わなかつた者


(罰則)
第25条 第18条第1項各号、同条第2項第1号から第3号まで若しくは第5号から第9号まで又は同条第3項の規定による警告 (同条第2項第4号に係る場合を除く。)に従わず、なお、第9条第1項、第2項若しくは第3項、第10条第1項、第11条、第13条第1項 (特定がん具類に関して適用される場合に限る。)、第13条の4第1項若しくは第2項、第13条の5、第15条第1項若しくは第2項又は第15条の3の規定に違反した者は、30万円以下の罰金に処する。

1 東京都青少年の健全な育成に関する条例(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html



■新しく設けられた規則で初の指定

第647回東京都青少年健全育成審議会の答申
TECHGIAN STYLE
妹ぱらだいす!2 ~お兄ちゃんと5人の妹のも~っと!エッチしまくりな毎日~
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2014/05/40o5d100.htm

5月12日に指定された「 妹ぱらだいす!2 ~お兄ちゃんと5人の妹のも~っと!エッチしまくりな毎日~」は、
平成22年12月22日に改正されました東京都青少年の健全な育成に関する条例に新しく設けられた指定図書の基準、
「刑罰法に触れる性行為(強姦など)」、「近親者間における性行為」を、
「不当に賛美、誇張」して描き、
「青少年の健全な成長を阻害する」
に該当するとされました。

(不健全な図書類等の指定)
第8条、第1項、第2号
二 販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、第7条第2号に該当するもののうち、強姦等の著しく社会規範に反する性交又は性交類似行為を、著しく不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく妨げるものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの

(図書類等の販売等及び興行の自主規制)
第7条 第2号
二 漫画、アニメーションその他の画像 (実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

1 東京都青少年の健全な育成に関する条例(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html


(指定図書類、指定映画等の基準) 第15条 第2項
  条例第8条第1項第2号の東京都規則で定める基準は、次の各号のいずれかに該当するものであることとする。
二 近親者間 (民法 (明治29年法律第89号)第734条から第736条までの規定により、婚姻をすることができない者の間をいう。)における性交等を、当該性交等が社会的に是認されているものであるかのように描写し若しくは表現し、又は当該性交等の場面を、みだりに、著しく詳細に若しくは過度に反復して描写し若しくは表現することにより、閲覧し、又は観覧する青少年の当該性交等に対する抵抗感を著しく減ずるものであること。


2 東京都青少年の健全な育成に関する条例施行規則(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html


今回の指定による今後の動向を考えると供に、
新基準独自の手続き、これまでの新基準の扱われ方、そして審議会の問題点を見て行きたいと思います。



■新基準を適用するまでの手続き

旧基準による指定図書は、毎月2、3冊選ばれていますが、
新基準による指定には、旧基準にない手続きが必要となっています。
1つ目は、審議会の委員が、議会前日にその図書を閲覧する(こともできる)というもの
2つ目は、専門委員が図書の調査をするというもの

東京都青少年健全育成審議会運営要領(案)
3 審議の方法
(1) 図書類について
図書類については、委員が審議会において当該図書類を閲覧又は観覧し、審議する。ただし、 審議会において閲覧又は観覧することが困難なものについては、 委員が審議会開催日前に当該図書類を閲覧又は観覧し、審議会において審議する。
なお、条例第8条第1項第2号(以下「新基準」という。)該当に関し諮問される図書類について、希望する委員は、上記に加え、審議会当日の午前または審議会開催日前に当該図書類を閲覧又は観覧することができる。新基準諮問図書類の閲覧又は観覧、 審議に当たっては、 諮問図書類ごとに新基準に関連する設定や描写のあるページ等について整理した資料を事務局において作成し、 配付する。

4 専門委員
審議会の委員は、知事が、条例第20条第2項に規定する専門委員を設置すること及び調査事項等を決定することについて、意見を述べることができる。
なお、新基準諮問図書類の審議に当たっては、別紙 「審議会に条例第8条第1項第2号に関する専門委員を置くことについて」により、審議会に専門委員が出席し、調査結果を報告するものとする。




(組織)
第20条
2 専門の事項を調査するため必要があるときは、審議会に専門委員を置くことができる。

1 東京都青少年の健全な育成に関する条例(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html


上記にある様に、今回の「妹ぱらだいす!2」は、議会前に閲覧できる状態になっていたのでしょうか?
また、20名の議員は議会前に閲覧したのでしょうか?
そして、専門委員はどの様な調査報告をしたのでしょうか?
20名の議員はその報告をどう受け止め、指定図書としたのでしょうか?

このことに関しては、628回の審議会で興味深い意見が出されています。
長くなりますが、下に抜粋します。

〇■■委員 審議の方法のところなんですけれども、この 「なお」の部分、追加のところですが、まず一つ目が、「希望する委員は、上記に加え審議会当日の午前又は審議会開催日前に当該図書類閲覧又は観覧することができる」とい う規定が載ってますが、これをするためには、当然やっていただけるのはわかってるんですが、事務局から事前に 「新基準の該当図書がありますよ」とい う情報が入 らないと、希望がとれないわけですね。前期の中でいきますと、新基準該当箇所と思われるものがあるんだけれども、「とりあえず、今回の諮問は旧基準でいきます」みたいなものがあって、その場合は、これは新基準に該当する箇所ではあるんだけれどという説明なだけで、旧基準でいくということで事務局側が判断している場合は、そういった情報は、事前には来ないことになると思うんですけれども、できれば、それ自体も判断するのが審議会じゃないかなと思うんですね。それがどちらの基準でいくかということも含めてですけども。なので、その情報もいただけるような文言が入れられれば、ありがたいとい うのが一つ。
それから 2 つ目が、その次ですが、「新基準諮問図書類の閲覧又は観覧、審議に当たっては、諮問図書類ごとに新基準に関連する設定・描写のあるページ等について整理した資料を」と。多分これは、作品から抽出するようなかたちになると思 うんですが、実際には専門委員を置いて、調査結果を報告すると。この都議会の付帯決議の意味というのは、要するに 「ストーリーや設定というのを深く吟味しなさいよ」という意味なので、該当箇所だけを抽出するというのは、絵面さえ見ればいいという話ではないと思うので、そういったことをまとめる必要があるかどうか判断するのは専門委員であって、その専門委員の調査報告書に資料として添付されるならともかく、事務局側がこれを作成して配付しますよということを、要領の中に入れるというのは、ちょっと行き過ぎになる可能性があるんじゃないかと思うんですけれども、できれば、ほかの委員の方の意見を伺った上で、ここの文章については、私は、事務局がやらなくていいんじゃないかなと。やるなら、専門委員のほうにやってもらえばいいんじゃないのかな、と思 うんですけれども、いかがでしょうか。
〇会長 ありがとうございます。これにつきまして、何か事務局からありますか。
〇青少年課長 まず最初のお話ですけれども、この審議会に先立ちまして、前の週の水曜日に業界の方々に集まっていただきまして、いわゆる自主規制会議、打合せ会というのを設けております。それを踏まえまして、水曜日の次の木曜日に、東京都として諮問する、しない、諮問する場合は、どういう指定基準で諮問するか、ということを決定いたします。その決定した後で、この審議会への諮問というかたちになりますので、その段階では皆様方にお知らせすることは可能なんですけども、その段階でいわゆる新基準がないといった場合については、今までは特段連絡はしておりませんでした。これからもし、新基準該当ということで諮問するという決定があれば、できれば木曜日の遅い時間あるいは金曜日の早い時間にご連絡をいたしまして、金曜日もしくは次の週の月曜日の午前中にも閲覧していただけるようにしていきたいと思っておりますけども、今、■■委員がおっしゃったように、決定した後で基準についてどうこうするという部分は、あくまでどの基準に該当するかというのは、都側の諮問でございますので、すでに決定しているということが前提でございますので、この審議会でどの基準に該当するかということの議論の対象になるのは、ちょっとふさわしくないのではないか、というふうに思っております。
〇■■委員 理解できました。
〇青少年課長 もう一点の部分でございますが、今回、追加 した部分につきましては、前期の審議会の議事録を踏まえまして、こうい うかたちで了承していただいたことを、文言として入れたとい うことでございまして、ほぼそのとおりの内容 となっております。ですので、ここについては、前回の議論の上で、皆様、ご了解いただいたもの、とい うかたちで入れてございます。したがいまして、整理した資料につきましては、これは運用の仕方でいくらでもできるかとは思いますので、ただ一方で、前期の中で、事務局のほうでこういった資料を作成し、配付するとい うことで、この審議会で了承いただいておりますので、要領の中に明文として入れたとい うことでございますので、ご理解いただければと思います。
〇会長 その辺、いかがですか。
〇■■委員 要するに、13 ページの (3)の話が反映されてます、とい うことですよね。「前期の審議会で承認されているので、お願いします」と言われると、何も言えなくなるんですけれども。ただ、私としては、この付帯決議の意味を考えると、あまり事務局側が抽出するとか、とい う作業をやらないほうが、結果的には誤解は招かれづらいよ、とい う思いがあるということだけ、意見として言っておきます。であれば、前回のほうで承認された事項だというんだったら、それはそれで受けますけれども。
〇会長 この件に関しては、ほかの委員の方、ご意見等ございましたら、どうぞ。
〇■■委員 たしかにこの中身は、いきなり 「これが新基準だよ」と言われても、よくわからないので、「事務局で資料をつくってください」とい うことだったと思 うんですけれども。当然、専門委員がそこに関わってきますよね。
〇青少年課長 もちろん、専門委員は専門委員で、特に作品の芸術性、社会性 といったものの観点から調査いたします。一方で事務局としても、例えば 「この描写については、何 とか法の何 とかに抵触している」とか、「していない」とか、「ここがこの条例のここに該当している」とい うかたち、とい うことの整理したものを、ある意味、事務的に資料を作成するといったものでございまして、それをどういったかたちで参考とするかは、委員の皆様方のご判断だとい うふ うに思っております。
〇■■委員 これは、運用状況を見定めながら、また再検討するとい うことで、実際出てきてから、また、や りながら考えるとい うことでいいんですよね。
〇青少年課長 それはそうい うかたちで、ご議論いただいております。
〇■■委員 まだ出てきてないので。
〇会長 実際に新基準の該当がありませんので、それがあったときに、また審議をしながらご意見あれば、そのように方向性をまとめていきたいと思います。よろしゅうございましょうか。




取り上げられた問題を要約しますと、
「審査する図書が、新基準で諮問するのか、旧基準で諮問するのかを都側(事務局)で決めてしまうこと」
「新基準の該当箇所に関する資料を専門委員ではなく、都側(事務局)が作ってしまうこと」です。
改めて読んでみて、この問題に対する青少年課長の返答はまったく納得の行くものではありません。
私はこの2つの問題に対して、都側が行っているのは、事務の範囲を超えていると思っています。
はっきりと申せば、これこそが表現の自由の侵害に他なりません。
指定図書の決定も、新、旧基準の選択も、都知事が任命した20人の審議委員が行わなければなりません。
ぜひ再検討を願いたいと思います。


8 事務
審議会の庶務は、青少年 治安対策本部総合対策部青少年課において行う。




■近親者間における性行為を描いた作品の、審議会での扱われ方

今回指定図書となった「妹ぱらだいす!2」以外にも、
これまで審議会内や、その近辺で取り扱われたことがあります。
振り返ってみましょう。

タイトル:あきそら
作者  :糸杉柾宏
出版社 :秋田書店

http://ja.wikipedia.org/wiki/あきそら


この作品が話題に上がったのは、条例が改正する前の、2011年(平成23年)4月14日、
出版倫理協議会・出版倫理懇親会との会合でのことでした。
注意しなければならないのは、この作品が新基準に当てはまると言っているのは、
出席した「青少年課長」であるということです。
つまり、この作品を審議会に出しますよ(諮問図書にしますよ)と言っているだけで、
実際に審議会で指定図書になるかはわからないということです。
しかし、秋田書店はあきそらの重版をやめてしまいました。
これは諮問図書となった作品は、ほぼ100%指定図書となっている現実を見ての判断であると考えられます。

余談ですが、同時期に「指定図書となっても成年マークを付ければ問題ない」という意見が見られましたが、
これは正確ではなく、指定図書は、成年マークをつけても表示図書にはなりません。
表示図書とは成年マークを付けた図書のことを指し、
指定図書が罰則規定があるのに対して、表示図書には努力義務しかありません。
ならば指定されたら成年マークを付けて表示図書にし、努力義務に変えてしまえば良いと思われるのですが、
条例を読むと、この方法では覆らないことがわかります。


(表示図書類の販売等の制限)
第9条の2 第2項
 図書類販売業者等は、前項に定める表示をした図書類 (指定図書類を除く。以下 「表示図書類」という。)を青少年に販売し、頒布し、又は貸し付けないように努めなければならない。


1 東京都青少年の健全な育成に関する条例(PDF)より
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/08_jyourei.html


タイトル:ヨスガノソラ(アニメーションDVD)
販売元 :キングレコード


この作品はテレビアニメとして放送されたもののDVDソフトとして販売されたもので、
「妹ぱらだいす!2」と同じく、アダルトゲーム
(18歳未満販売禁止のパソコン用ゲームソフト 審査:コンピュータソフトウェア倫理機構)を原作としており、
一般販売しています。
DVDも審議会の対象となっており、最近でもDVDを付録としている雑誌が指定図書となっているケースも珍しくありません。
この作品は、通常行われる、都の職員が販売店で選んで購入してきたものではなく、
都民からの申し出により審議会で言及されたものです。

〇青少年課長 それでは資料の 20 ページをご覧ください。4 月処理分の都民の申出でございます。
まず 1 番。メールによる申出が 1 件ございました。内容は 「性的な描写のあるテレビアニメについて」で、兄と妹の近親相姦シーンを含む 5 作品につきまして、都民から指摘がありました。1 作品は DVD になっているものを購入して確認を行いました。他の 4 作品につい てはインターネットの動画で確認いたしました。このうち 「ヨスガノソラ」とい うアニメが兄と妹の近親相姦を描いております。ただ、社会的に是認されているかのように描いたり、あるいは必要以上に反復して詳細に描いているというものではありませんので、新基準等には該当しておりませんでした。その他のアニメ 4 作品につきましては、いわゆる旧基準の対象 となりますが、いずれも該当するものではありませんでした。





上記の通り、この作品は審議会で審議すらされず、都側が一方的に指定されないと決めてしまいました。
審議会で図書が審議されるまでには、幾つかのプロセスがあります。
まず「図書の購入」で月に100冊以上、
次に「諮問図書の選別」で月に2、3冊程、
そして「審議会での審査」ときて「諮問図書の決定」となります。
ここで問題であるのが、「図書の購入」と「諮問図書の選別」という初期段階の手続きが、
事務手続きとして都の職員によって行われ、その基準や購入された図書が明示されていないということです。
これも事務の範疇を超えており、私は、この段階から審議会の委員が関わりを持つべきであると思っています。

「妹ぱらだいす!2」が、今回新基準で初の指定図書となったと取り上げられていますが、
それはつまり、「これまで、都が新基準で審査させなかっただけである」と言えるでしょう。
「ヨスガノソラ」は審議されず、「妹ぱらだいす!2」が審議された理由は何なのか、明言すべきでしょう。



タイトル:アネLOVER
     イモウトLOVER
作者  :椿 十四郎
出版社 :ジーウォーク

http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_622_menu.html#627


この作品は627回の審議会で指定図書として決定が下されています。
しかし、内容は近親者間の性行為であるのにもかかわらず、ここで審議されたのは旧基準でのみです。
これは、上記「新基準を適用するまでの手続き」に示したとおり、
「審査する図書が、新基準で諮問するのか、旧基準で諮問するのかを都側(事務局)で決めてしまう」からです。
これにより、この作品が新基準に当てはまったのか、そうでないのかがわからないまま、
議論されることすらなく指定図書となってしまいました。



■新基準に伴う問題と今後

以上から審議会の問題を纏めます。

1:都の職員が事務手続きとして諮問図書を選ぶ際に、旧基準か、新基準かを決めてしまうこと。
2:図書の購入、諮問図書の選別に、都の職員が第一番目に関わっており、その選別方法が不透明であること。
3:旧基準で諮問されたら、新基準の審議がされないこと。

他にも気になる点はありますが、これ以上は他の情報や議事録が公開を待ちたいと思います。

今回の「妹ぱらだいす!2」に限らず、審査された作品に目が行きがちですが、
それよりも問題であるのが、何故その作品が有害であるとされたのか、その理由が明確でない点です。
明確でないから出版社は指定図書のレッテルを貼られてしまいます。

出版社も、青少年の健全育成の為に動かなければならないでしょう。
しかし、そうでないのなら表現の自由と経済活動の自由は最大限に尊重されるべきです。
そのためにも、審議会には適切な情報公開を求めたいと思います。
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by k1kuraki | 2014-05-14 22:46 | 都条例